6号機でもたまり水移送 建屋外の仮設タンクに

2011.5.1 08:41
 東京電力は1日、福島第1原発6号機のタービン建屋のたまり水を、建屋外の仮設タンクに移送する。この日は約500トンを移す予定で、最終的には約7千トンになる見込み。 6号機は冷温停止中で、原子炉を冷却する機能が働いている。たまり水は地下水が流入している可能性が高く、放射性物質による汚染は比較的小さいとみられている。
 2号機立て坑の高濃度の汚染水を、集中廃棄物処理施設に移す作業も続いた。東電は、1〜4号機周辺のタービン建屋や立て坑周辺の汚染水が、計8万7500トンに上るとの推定を4月30日に公表。内訳は1号機周辺で2万500トン、2号機で2万5千トン、3号機で2万2千トン、4号機で2万トン。

玄葉戦略相が身内の民主議員と参院予算委で口論

2011.5.1 19:17
1日の参院予算委員会で、玄葉光一郎国家戦略担当相が福島第1原発事故をめぐり、「身内」の民主党議員と激しく口論する一幕があった。 民主党の川上義博氏は、玄葉氏が3月14日の党会合で避難指示に関し「(原発から半径)10キロで大丈夫だが、念のために20キロにした」と説明したと明かし、認識の甘さを追及。これに玄葉氏は「原子力安全委員会がそういう見解だと紹介したはずだ。誤解を招く発言は控えてほしい」と猛烈に反論した。 川上氏は「素直に間違いを認めるべきだ」と引き下がらず、5分以上押し問答が続いた。

菅首相の「初めてだから」に自民「恥ずかしくないのか」

2011.5.1 19:22
直人首相は1日の参院予算委員会で、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の政府対応に関する世論の評価が低いことについて「すべてが初めてなので完全とは言わないが、全力を挙げて対応してきた。初めてのことだから」と釈明した。
 これに対し、自民党の島尻安伊子氏は「首相はこれまで政治は結果責任だと言っていた。『初めて』と言うことは恥ずかしくないのか」と切り返した。

郡山市の下水処理場の汚泥から高濃度セシウム

2011.5.1 18:53
福島県は1日、同県郡山市の下水処理場「県中浄化センター」で、汚泥と汚泥を焼却処理した溶融スラグから高濃度の放射性セシウムを検出したと発表した。県は、降雨により地表の放射性物質が混入したとみている。 県によると、汚泥からセシウムを1キログラム当たり2万6400ベクレル、溶融スラグから同じく33万4千ベクレルを検出した。原発事故前の溶融スラグは同246ベクレルだった。 1日に80トン出る汚泥のうち、70トンは溶融炉で処理し、10トンは県外のセメント会社が再利用している。溶融スラグは1日に2トン発生する。 県は1日からセメント会社への搬出を停止したが、事故以降に500トンが運び出された。溶融スラグも道路の砂利などとして利用しているが、同センターは事故以来出荷していなかった。県の担当者は「溶融スラグの濃度が高いのは、焼却などの下水処理の過程で濃縮されたためとみられる」と話した。

福島の山菜から放射性物質 コゴミとタケノコ 県が出荷自粛

2011.5.1 22:17
福島県は1日夜、タラノメやタケノコなど旬の山菜6品目で先月末に行った緊急時モニタリング検査で、暫定基準値(1キロあたり500ベクレル)に対して福島市のコゴミから770ベクレル、いわき市のタケノコからは650ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。 県によると、いずれも自生のもの。県独自の判断として直売所などでの販売自粛を求めたほか、採取する県民などにも「なるべく食べないように」と要請している。需要が増えるタケノコについて、近く地点を増やして測定する。

敦賀原発2号機が運転停止へ 1次冷却水で放射能濃度上昇

2011.5.2 19:34 
日本原子力発電は2日、運転中の敦賀原子力発電所2号機(福井県敦賀市、出力116万キロワット)の1次冷却水の放射性物質(放射能)濃度が上昇していると発表した。規制値を大幅に下回る値だが、核燃料から漏れだしている疑いがあるとして今後、原子炉の運転を停止して調べる。同社では、東海第2原発が地震で、敦賀原発1号機が定期点検でそれぞれ停止中。両機が再開しないままだと保有するすべての原発が停止することになる。 
敦賀原発2号機では、前回調査(4月26日)と比べて1次冷却水中の放射性ヨウ素133の濃度が2倍の1立方センチメートルあたり4・2ベクレル、希ガスが750倍の同3900ベクレルあった。規制値は放射性ヨウ素133が対象で同4万ベクレルまでとされ、今回の検出値は1万分の1となる。ただ、同社は核燃料の被覆管に何らかの損傷があるとみており、週1回の放射能の測定を毎日にし、状況を監視し続けたうえで原子炉の運転も停止する方針。そのうえで損傷個所を特定する。停止時期は未定としている。 同機は、加圧水型軽水炉(PWR)。原子炉で熱された1次冷却水が配管を介して2次冷却水を加熱、蒸気を発生させて発電タービンを回す仕組み。同機は193体の燃料を昨年2月に装荷し、7月から燃焼させている。

福島全域の放射線量をマップ化し公表 4月後半の空気中測定結果

2011.5.2 23:54
福島県は2日、福島第1原発から20キロ圏内を除く県内全域で4月12〜29日にかけて空気中の放射線量を測定した結果を、マップにして公表した。県のホームページで公開している。 店舗や生活道路などの「舗装面」1865カ所(4月12〜16日調査)では、浪江町昼曽根地区の1時間当たり44・8マイクロシーベルトが最大。学校や公園などの「未舗装面」859カ所(12〜29日)は浪江高校津島校の同28・7マイクロシーベルトが最大だった。 舗装面、未舗装面とも第1原発から北西の方角に向かって線量の高い地域が多い傾向は共通。また、県中央部を南北に貫く国道4号にほぼ沿う形で帯状に1時間当たり1〜2マイクロシーベルト程度の線量が確認された。県は「風向きなどが原因と思われるが、詳しく調査したい」としている。

原発温度測定の映像公開 自衛隊ヘリ、放射線量も

2011.5.3 01:41
 
ヘリコプターの機内から福島第1原発の温度などのデータを収集する自衛隊員=4月26日(防衛省提供)

防衛省は2日、上空で福島第1原発の温度を測定する自衛隊ヘリコプターの映像を報道陣に公開した。ヘリ胴体部に複数のカメラなどを取り付け、温度や放射線量を測る様子が確認できる。 公開された4月26日の映像では、ヘリ底部に装着した透明のアクリル板の上に、温度測定カメラと放射線量測定機器を設置。防護服にガスマスクを着用した隊員が、カメラに接続したパソコンを見ながら原発の温度を確認したり、測定した放射線量の数値を書き込んだりしていた。 映像には上空約900メートルから撮影した原発も含まれており、原子炉建屋の損壊が激しい3号機がアップで映し出された。

建屋換気に向け機材搬入 福島第1原発1号機

2011.5.3 09:04 
福島第1原発事故で東京電力は3日、放射線量が高い1号機原子炉建屋の換気のため、排風機などの機材を現場に搬入、5日にも開始予定の換気作業に向けた準備を進めた。 東電によると、原子炉建屋の二重扉を開けると放射性物質が漏れる可能性があるため、二重扉の外側に気圧を高めた区画を設置。直径30センチのホース8本を建屋内に引き込み、フィルターで放射性物質を吸着させながら空気を循環させる。 短時間で現場の作業を完了させるため、2日にホースの設置訓練や、気圧を高めた区画の仮り組みなどを実施した。機材設置後、空気漏れがないかどうかなど入念に確認した上で二重扉を開けるとしている。
 ほかに、放射性物質の飛散防止剤の散布やがれきの撤去作業などを続けた。

第1原発作業員、年間50ミリシーベルトの被曝上限適用せず 5年で100ミリシーベルトは堅持 厚労省通知

2011.5.3 09:06 
厚生労働省は3日までに、福島第1原発で作業した人の被曝線量の上限に関する通知を都道府県労働局あてに出し、5年間で100ミリシーベルトを超えないよう、あらためて求めた。通常1年間で50ミリシーベルトを超えないとの原則は適用せず、例外的に作業を続けられるようにする。 通知によると、福島第1原発で緊急作業に従事した人は、その後のほかの原発での業務も含め、5年間で総量が100ミリシーベルトを超えないようにする。やむを得ず100ミリシーベルトを超えた場合は「5年間の残りの期間でそれ以上被ばくさせないよう指導する」とした。 福島第1原発以外では、あくまで1年間で50ミリシーベルトを超えないとの原則は維持する。当初、通常時の年間50ミリシーベルトの上限を当面撤廃する方針で検討を進めていたが、作業員の安全軽視につながりかねないと判断した。

立て坑にコンクリート注入 海への汚染水流出防止

2011.5.4 10:32
福島第1原発事故で東京電力は4日、高濃度の放射性物質を含む水がたまっている敷地内の立て坑のうち、2号機のタービン建屋の外にある立て坑にコンクリートを入れてふさぐ作業に向け準備を進めた。 立て坑から汚染水が海に流れ出すのを防ぐ目的。マグニチュード(M)8級の余震が起きて津波が発生した場合に、海水が立て坑に入るのを防ぐ狙いもある。ふさぐのは2、3号機の海側にありタービン建屋とつながっている計4カ所で、残る3カ所も順次作業し、5月下旬に完了する。 東電によると、2号機の立て坑の深さは約16メートル。コンクリートを直接注入すると沈んでしまうため、4日までにあらかじめ砕石約400立方メートルを投入した。

福島第1原発、8日から冷却装置設置へ

2011.5.4 20:55
 東京電力福島第1原発事故で東電は4日、1号機原子炉の冷却水を循環させる代替冷却装置の設置工事を8日から開始すると発表した。設置されれば、原子炉内の水温を100度以下の冷温停止状態に安定させることが可能になり、冷却機能回復に向けた作業が本格化する。 作業員の被曝(ひばく)線量を抑えるため、5日から放射線量の高い原子炉建屋内に換気用のホースを設置。8日から空冷式冷却装置やポンプの設置を始める。その後、原子炉建屋内に熱交換器を搬入し、配管工事に着手する。冷却水の循環は現在窒素を注入する際に使っている配管を使用するという。
 一方、原発から20〜30キロ離れた海底の土から通常の100〜千倍の放射性物質が検出されていたことも判明。分析した東電は、汚染水の影響か、大気に放出された放射性物質が海中に落ちたのが原因とみている。

「被曝量、年単位で考慮を」長期化で重視される積算値 1度に浴びるより影響は小さいが

2011.5.4 21:09
 東京電力福島第1原発事故で、放射線量の総量「積算放射線量」が重視されるようになっている。1時間当たりの被曝(ひばく)量が低い値であっても、数カ月、1年間と続けて浴びた場合、放射線量は累積されていく。原発事故の長期化で、健康に与える影響を1時間や1日当たりでなく発生以降の年単位で考慮せざるを得なくなったからだ。 例えば1時間当たりの放射線量が10マイクロシーベルトだった場合、単純計算で年間の被曝量は87ミリシーベルトとなり、発がんリスク増加の可能性が高まる100ミリシーベルトに近い数値になる。 ただ、放射線量は地形や風向き、地上からの高さなどで変わり、一律ではない。福島県によると、福島第1原発から北西約30キロの浪江町の小学校で4月5日に計測された放射線量は、地上から高さ1メートルの位置で毎時21マイクロシーベルトだが、地表では30マイクロシーベルトと約1・5倍だった。ちりなどに含まれた放射性物質が降下した影響とみられている。 政府は事故発生当初、「数日間で50ミリシーベルト」というあいまいな基準で避難区域を設定していた。 しかし、原発事故の収束が見通せる状況ではなくなったため、年間20ミリシーベルトという被曝量を基準に用いて避難区域を改めて設定。計画的避難区域に設定された浪江町の1地点では、来年3月までの積算放射線量が235・4ミリシーベルトに上ると文部科学省が予想している。積算放射線量が住民に対する安全対策の指標として注目されるようになる一方で、東電が原発事故の対策拠点でずさんな放射線管理を行っていたことも判明。3月11日の地震発生後、10日間以上にわたり、福島第1原発敷地内の免震重要棟で時間当たりの放射線量を記録していただけで、作業員からは滞在時間を聞き取って被曝量を“推計”していた。 東大付属病院放射線科の中川恵一准教授は「同じ量の放射線を1年間で浴びた場合、一度に浴びた場合より健康に与える影響は2〜10倍低い」と影響の軽減を説明しながらも、「事態が長引いており、個人が浴びた放射線量の計測は重要だ」と指摘する。

事故後初めて作業員が原子炉建屋内に 福島第1原発1号機

2011.5.5 11:49
東京電力福島第1原発1号機=3月20日(エア・フォート・サービス提供)

 東京電力は5日、福島第1原発1号機への冷却設備設置に向けた作業を進め、放射線量が高い原子炉建屋内に、事故後初めて作業員が入った。 建屋内での作業中に内部被ばくするのを防ぐため、建屋内に浮遊する放射性物質をフィルター付きの換気装置で吸着させる措置の一環。 換気装置は原子炉建屋に隣接するタービン建屋に設置済みで、ここから8本の管を廊下を経由して原子炉建屋内まで延ばす。汚染された空気を吸い出し、浄化した後に戻すことで、原子炉建屋内の放射性物質を約20分の1に減らす効果が期待される。 この日の作業は、防護服に全面マスクを着け、空気ボンベを背負った作業員12人が、約40分の予定で実施。 1号機の原子炉建屋内では、4月17日にロボットで調べた結果、最大で毎時49ミリシーベルトの放射線量が計測されている。

【放射能漏れ】

「経験豊富な作業員」空気ボンベ背負い、慎重作業 建屋内に配管8本運び込む

2011.5.5 20:45 (1/2ページ)

自衛隊ヘリから撮影した福島第1原発。(手前から)1号機、2号機、3号機、4号機=4月26日(防衛省提供)

 東京電力福島第1原発1号機の原子炉建屋内に5日、事故後初めて作業員が立ち入った。事前にロボットが入り、内部の放射線量などは確認していたとはいえ、不確定要素の多い作業。作業終了が報告されると、東電原子力・立地本部の松本純一本部長代理は「原子炉の安定冷却という目標に向け着実に進んでいる。建屋に入れたのは大きなポイントだ」と安堵(あんど)した様子で語った。 作業員に選ばれたのは、東電社員2人と協力企業11人の計13人。この日は建屋内の換気に向け、換気装置から延びる配管計8本を建屋内部まで運び入れる作業を行った。 人選にあたっては「志願という形は取らず、原子炉内の構造を熟知し、経験が豊富な作業員を選んだ」(東電)という。
 作業は午前11時32分にスタート。まず東電の社員2人が建屋内に入り、約25分間、内部の放射線量を計測した。安全性の確認後、午後1時半から配管の搬入を開始。11人の作業員が交代で直径約30センチのポリエステル製の配管計8本を運び込んだ。 配管の設置場所は最も遠いところで、入り口から約25メートル。1人あたり10分以上は中に留まらないように、慎重な作業が行われたという。
 作業員らは2日前から、リハーサルを何度も行い、作業工程を確認した。今後、原子炉を安定した状態に保つには、人が建屋内に入って作業することが不可欠で、今回の作業は、建屋内に人が一定時間入れる状態にするには欠かせない重要な作業だったからだ。 内部の放射線量は平均で毎時10〜40ミリシーベルトと高いことがロボット測定で判明しており、作業員らは防護服に全身を包み、放射性物質を吸い込まないように、スキューバダイビングで使うような空気ボンベを背負って作業を行った。 局所的に高濃度の場所がある可能性も残っており、事前に推計していた1人あたりの被曝(ひばく)線量は3ミリシーベルトだったが、作業終了後に測定された13人の被曝線量は2・8〜0・24ミリシーベルトだった。

保安院、福島原発1号機の耐震性は「妥当」と評価

2011.5.5 22:27 経済産業省原子力安全・保安院は5日、福島第1原発1号機の原子炉格納容器に水をためて冷やす措置を取った場合でも、耐震安全性は確保されるとの東京電力の報告を妥当とする評価を示した。ただ念のため格納容器の一部補強を検討するよう指示した。
 東電は同日、報告書を提出。燃料から1メートル上まで注水すると7400トンが入ると計算し、想定した最も大きな加速度の揺れが起きても水を保持できるとした。水が増えても格納容器から蒸気を逃がす「ベント」が必要なほど圧力が上がらないと推定。格納容器が万一破損しても水は隣接するタービン建屋にとどまるとした。

1号機、冠水作業を開始 建屋を換気、環境改善

2011.5.6 11:08
福島第1原発1号機の原子炉建屋内に設置された換気用の管=5日午後(東京電力提供)

 東京電力は6日、福島第1原発1号機の原子炉格納容器を水で満たして圧力容器ごと燃料を冷やすため、炉心への注水量を毎時6トンから8トンに増やした。今後20日程度かけて燃料の上まで水を入れて「冠水」と呼ぶ状態にし、6月には水を循環させて空気で熱を取り除く新たな冷却システムを稼働させる計画だ。 冠水状態で、中の水は7400トンになる。
 これに必要な作業環境を確保するため、東電は5日、3月12日の水素爆発以降初めて、1号機原子炉建屋内に作業員を入れ、空気中の放射性物質を減らす換気装置を設置して起動させた。3日ほど換気を続ける。
 同建屋内では非常に高い放射線量が計測されており、作業に伴う内部被ばくが懸念材料。換気が完了すれば、より多くの作業員が入ることができ、新たな冷却システムに必要な熱交換器や配管の設置が効率よくできる。東電は8日にも設置の準備作業を始める方針。

海中の放射性物質、米国へ IAEAが予測

2011.5.6 11:45 国際原子力機関(IAEA)当局者は5日の記者会見で、福島第1原発の事故に伴って太平洋に流れ込んだ放射性物質は黒潮に乗って広がり、1〜2年後には米国やカナダの西海岸に到達するとの予測を示した。量は極めてわずかで、人体への影響はないという。
 同原発から放出された放射性物質は大気中にも拡散し、北半球全域のほか南半球の一部でも観測されている。
 また、IAEAのフローリー事務次長は同日、東京電力が4月に発表した事故収束への工程表について「よくできている」と述べ、日本側の事故対応を支持するとした。(共同)

海底土から放射性物質 原発から40〜50キロ、文科省調査

2011.5.6 14:37 文部科学省は6日、福島第1原発から約40〜50キロ離れた海域2カ所で採取した海底の土から、放射性物質を検出したと発表した。東京電力によると、より原発に近い海域での通常値の数十倍の濃度。
 原発の北約40キロ、沖合約5キロ、深さ31メートルの海底で3日に採取した土から、1キログラム当たりセシウム134を80・2ベクレル、セシウム137を93・9ベクレル検出。原発の南約50キロ、沖合約10キロ、深さ117メートルの海底から4月29日に採取した土から、ヨウ素131を28・4ベクレル、セシウム134を25・3ベクレル、セシウム137を32・3ベクレル検出した。
 文科省は、原発から流出した汚染水か、空気中の放射性物質が海底に沈んだとみている。 東電が原発から約15〜20キロ地点の沖合3キロで採取した海底の土からは、通常の100〜千倍の濃度の放射性物質が検出されている。

土壌のセシウム最高値 福島県浪江町

2011.5.7 13:19 文部科学省は7日、福島第1原発周辺の土壌に含まれる放射性物質の調査で、原発の北西24キロの福島県浪江町で6日に採取した土1キログラム当たり、セシウム134とセシウム137を合計で78万ベクレル検出したと発表した。原発の半径20キロ圏外の土壌調査では最高値となった。 半減期約2年のセシウム134を35万ベクレル、半減期約30年のセシウム137を43万ベクレル検出。同地点で3月30日に採取した土壌と比較すると、半減期約8日のヨウ素131の検出値は10分の1以下で、文科省は「減少していくヨウ素より、セシウムが放射線の主な放出源となる」としている。

放射能濃度が低下傾向 8日にも建屋扉開放

2011.5.7 20:17
 東京電力は7日、福島第1原発1号機の原子炉建屋内の放射性物質の濃度が低下したと発表した。5日から装置による換気を進めていた。新たな冷却システム設置などの作業のため、経済産業省原子力安全・保安院と協議したうえで、8日にも原子炉建屋の二重扉を開ける予定。 換気装置は、建屋内での作業員の被(ひ)曝(ばく)を低減させるのが目的で、5日午後に起動。約17時間後までは一時的に濃度が上昇したが、その後は徐々に低下傾向を示し、7日未明には、全面マスクを着用すれば作業員が建屋内で作業ができるレベルになった。
 また、東電は、温度が上昇傾向にある3号機圧力容器への注水について、これまで使っていた非常用配管に水漏れの可能性があるとして、今後直接炉内に水を送り込める別の配管に変更すると発表した。

東電「扉開放問題ない」 1号機、保安院に報告

2011.5.8 11:28
 福島第1原発事故で東京電力は8日、1号機の原子炉建屋の二重扉開放に向けた放射性物質の濃度測定結果について、「扉を開放しても問題ないレベル」との見解を明らかにした。 東電はこうした状況を経済産業省原子力安全・保安院に報告、扉開放で放出される放射性物質による環境への影響について検討している。保安院の評価を得た後、福島県や周辺の町に報告する。扉の開放は、その後になる見通し。
 扉の開放は、原子炉を冷却する新たなシステム構築に向け、建屋内で作業を始めるための措置。
 東電によると、開放後に再度、建屋内の放射線量や放射性物質濃度などを調べ、必要な防護対策を取る。その後、原子炉の水位計や圧力計の点検などに取り掛かるという。

“振動”する膜で汚染水処理 東電に提案、テクノアルファ

2011.5.8 16:59 (1/2ページ) 産業用装置を扱う専門商社テクノアルファ(東京都品川区)は、小さな穴が無数にあいた膜を揺らしながら不純物を取り除く「振動膜式ろ過装置」を原子力分野に提案する。東日本大震災に伴う原子力発電所事故では、放射性物質を含む汚染水の処理装置が注目されており、同社も東京電力に採用を働きかけ始めた。納入実績を弾みに東電以外の電力会社にも提案、汚染水処理事業の拡大を狙う。 納入をめざす振動膜式ろ過装置は、同装置を開発する米ニューロジック・リサーチ(カリフォルニア州)の製品。テクノアルファは、同社製品を日本に販売する代理店という立場で、国内の電力会社に売り込む。 この装置は、「ナノメートル(ナノは10億分の1)レベル」という微細な穴をもつろ過膜と、その膜に1秒間に60回以上の振動を加えることが特徴だ。 汚染水をろ過膜に通すことで、まず、放射性物質と塩分などの不純物がせきとめられ、通過した水は汚染が除去される。常に膜を振動させることでせきとめられた物質が膜にはりつかないようにし、膜の目詰まりを防ぐ。目詰まりが減れば、ろ過膜の寿命が長くなり、膜の交換を減らせる。 さらに装置は、1辺が約2メートルという正方形のスペースがあれば設置できる。コンパクトでありながら1台で、1時間あたり約20トンの汚染水を処理できる。

テクノアルファは、こうした処理能力が原発事故後の汚染水対策の1つとして有効と判断。電力会社を中心に原子力関連企業への提案を強化していく。 すでに東電では、福島第1原発敷地内の汚染水処理のため、多数の穴が空いた鉱物に吸着させる技術を導入する計画だ。テクノアルファの松村勝正社長は「放射性物質の吸着技術を補助するバックアップ装置として提案する」と意気込む。 福島第1原発敷地内の汚染水は、除染した水を原子炉に戻し炉心の冷却に再利用する計画を検討している。同社は、再利用可能な水にする工程での技術の活用を目指す。 装置は米国原発で5基以上が試験的に採用されている。原発敷地内の廃水からコバルトやセシウムなどの放射性物質を90%以上除去しており、この実績もアピールする方針だ。

3号機の圧力容器温度が大幅上昇 底に燃料落下?

2011.5.8 19:51
 福島第1原発3号機で、燃料を入れた原子炉圧力容器の温度が大幅な上昇傾向を示し、8日には容器上部で206度に達した。 東京電力は、差し迫った危険はないとの見方だが「燃料が崩れて(圧力容器の)底に落ちた可能性も否定できない」として、温度の監視を強め原因を分析している。 4月末、圧力容器上部の温度は80度台で推移。多少の上下はあるが比較的安定していた。
 5月に入り上昇傾向が顕著になったため、東電は4日、圧力容器への注水量を毎時7トンから9トンに増やした。しかし上昇は収まらず、5日朝には144度に。さらに7日夜には202度に跳ね上がり、その後も“高止まり”の状況だ。圧力容器下部の温度も上昇傾向を示している。
 東電は既に、3号機の燃料は約30%損傷したとの推定を示しているが、ここにきて燃料が圧力容器の底に落下したとすれば、過熱が進み、溶融が再度起きた可能性がある。

原子炉建屋扉を開放 保安院「環境への影響ない」

2011.5.8 20:48
 東京電力福島第1原発事故で東電は8日夜、1号機の原子炉建屋の二重扉を開放したと発表した。建屋内の放射性物質の濃度が低い状態で安定し、開放後に周囲の環境に及ぼす影響が限定的と判断されたため。経済産業省原子力安全・保安院も環境への影響について「支障はない」と評価した。地元自治体や諸外国への説明もすでに終えているという。 作業員が建屋内に入るには二重扉を開放する必要がある。その際、建屋内の放射性物質が屋外に飛散する可能性が指摘されていたが、5日から建屋内の空気を換気する装置を設置した結果、放射性物質の濃度が低下。東電は「発電所の敷地境界での影響は一般人の年間被(ひ)曝(ばく)線量の1ミリシーベルトを十分下回る」としている。 9日早朝に保安院の職員と東電の作業員が建屋内に入り、放射線量の測定などを実施。安全性が確認されれば、原子炉を安定的に冷却するための循環型冷却システムの設置作業を開始する。
 一方、東電は8日、福島第1原発の敷地内の土壌から、通常時の約100倍の放射性ストロンチウムが検出されたことを明らかにした。

原子炉建屋の扉開放で放出量は5億ベクレルと推定 保安院「周辺に影響なし」

2011.5.8 21:55
 経済産業省原子力安全・保安院は8日、1号機原子炉建屋とタービン建屋の間にある二重扉の開放によって、原子炉建屋上部から放出される放射性物質の総量は5億ベクレルとの推定値を明らかにした。4月上旬に海に放出された比較的低濃度の汚染水約1万トンに含まれる量の300分の1という。 この放出により、福島第1原発敷地内で浴びる最大の放射線量は、0・44〜0・77マイクロシーベルト。一般人の年間限度である1ミリシーベルト(千マイクロシーベルト)の千分の1以下で、保安院は「環境への影響は支障がない」としている。
 5億ベクレルについて保安院は、東京電力が7日に測定した原子炉建屋内の放射性物質の濃度に原子炉建屋の容積約2万5千立方メートルを掛けて算出。放射線量は秒速1メートル、内陸向きの風などの気象条件を加味して緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム「SPEEDI」を使って推定した。

安定冷却へ第一歩、6月上旬にも空冷式装置稼働へ

2011.5.8 22:47
 福島第1原発1号機の原子炉建屋の二重扉が開放され、原子炉建屋内での有人作業が着手されることとなった。工程表で3カ月後の目標として掲げた「原子炉の安定冷却」に向けた第一歩となるものだ。原子炉内の水を外付けの空冷式装置で冷やす新たなシステムが稼働すれば、数日中に原子炉内の水温が100度以下になる「冷温停止」状態になる見込みだ。
(原子力取材班)
 新設する冷却システムは、原子炉から高温の水を配管で取り出し、冷ましたうえで再び原子炉に戻して循環させる。当初は既存の冷却システムの復旧を目指していたが、主要機器が放射線量の高い区域にあるなど、作業に時間がかかるとして断念した。
 1号機は格納容器に水を満たして燃料の入った圧力容器ごと冷却する「水棺」化が進められており、この水を循環冷却できれば、外部からの注水による汚染水の発生を抑えることができると期待されている。 原子炉建屋の外に熱交換器と呼ばれる機器と、ファンによる風で冷却する空冷式装置を設置。この2つの間で水を循環させる配管も新設する。 一方、原子炉と熱交換器の間をめぐらせる高温の水は毎時100トン。水素爆発を防ぐため窒素注入に使っている配管を利用して循環させる。
 16日からは熱交換器や配管の設置を始める。システムは「水棺」作業完了後の6月上旬には稼働させる計画で、「稼働して早ければ数時間、最大でも数日間で冷温停止状態になる」(東電)という。

 「(工程表の)第1ステップの大きな目標だ」
 事故対策統合本部事務局長の細野豪志首相補佐官がこう強調するように、今回の1号機冷却の可否は、工程表の今後を占う試金石となる。 東電は、2、3号機についても7月までに同様のシステムを導入する予定で、「1号機で成功すれば他号機でもノウハウが応用ができ、作業を早めることができる」(東電)と期待を高めるが、課題はある。
 2号機は格納容器につながる圧力抑制室と呼ばれる部分が損傷しているとみられ、高い放射線量や湿度などに阻まれて現場の状況さえ確認できておらず、補修のメドは立っていない。
 日本原子力学会の沢田隆副会長は「原子炉建屋内では、放射線量が高い場所が事前に分からない場合もあり、今まで以上に慎重な作業が必要になる」と指摘している。

原子炉建屋に作業員入る 冷却回復本格化へ 1号機、線量に異常なし

2011.5.9 09:32
 東京電力の福島第1原発で9日、二重扉を開放した1号機の原子炉建屋に東電の作業員7人と経済産業省原子力安全・保安院の職員2人が入り、放射線量を測定した。 作業員の安全性を確認すれば、計器類の取り付けや原子炉内の水を循環させて冷やす熱交換器の設置など、原子炉を安定的に冷却させる作業が本格化する。 二重扉の開放に伴い、原子炉建屋内の放射性物質を含む空気が出て、水素爆発で破損した建物上部から大気に放出されたとみられるが、原発敷地内の9カ所の観測地点で放射線量の数値は上昇していない。 東電は、8日夜に二重扉を開放。9日午前4時20分ごろに、作業員ら計9人が入り、約30分間線量測定や現場の調査を行った。
 1号機では格納容器を水で満たし、燃料の入った圧力容器ごと冷やす「冠水」と呼ばれる作業が続けられ原子炉建屋では今後、水位計の調整や熱交換器の設置などが行われる計画だ。

またも課題「最大毎時700ミリシーベルト」 冷却機能構築に困難も

2011.5.9 12:16
 東京電力は9日、二重扉を開放した福島第1原発1号機の原子炉建屋内に作業員ら9人が入り放射線量を測定した結果、最大で毎時600〜700ミリシーベルトの高線量だったと発表した。今回の事故作業に伴う被ばく線量限度は250ミリシーベルトで、早ければ20分余りの作業で限度を超える。 東電は「現時点で工程表の見直しは考えていない」としたが、作業員の被ばく低減のために除染や遮蔽が必要で、場合によっては原子炉を安定的に冷却させるシステムの構築に困難が伴うことも予想される。
 東電は、原子炉圧力容器や格納容器の水位を正確に測るための計器の取り付けや補正、原子炉内の水を循環させて冷やす熱交換器の設置など、原子炉を冷却させる作業を今後、本格化させたい意向。建屋内ではほかにも毎時280ミリシーベルトの高い値も測定されたが、計器に関する作業場所付近は毎時10〜70ミリシーベルトで、遮蔽をすれば作業は可能だとみている。保安院も、作業時の遮蔽の必要性を指摘した。

1号機建屋内での作業開始 冷却機器、週末にも搬入

2011.5.9 21:44
福島第1原発1号機の原子炉建屋1階に入った作業員=9日未明(東京電力提供)

 東京電力福島第1原発の事故で9日、二重扉を開放した1号機原子炉建屋内に作業員ら9人が入り放射線量を計測、最大で毎時700ミリシーベルトを測定した。東電は「遮蔽(しゃへい)措置を講じれば作業は可能」と判断、放射線を遮蔽する鉛製のマットを設置するなど、建屋内での作業を開始した。原子炉の安定冷却のための機器を今週末にも搬入する。 東電などによると、建屋内で最も放射線量が高かったのは1階中央はしご付近で毎時600〜700ミリシーベルト。南側でも一部で毎時280ミリシーベルトを測定した。ほかは毎時10〜100ミリシーベルト程度だった。東電は同日、放射線量が高い場所を鉛のマットで覆うなど、作業環境の改善を進める作業を始めた。近づくのが困難な高線量の場所では作業工程の見直しなども検討する。
 放射線量の測定は9日午前4時20分ごろから、作業員7人と経済産業省原子力安全・保安院の職員2人が建屋に入って実施。9人の被曝(ひばく)量は2・7〜10・56ミリシーベルトで、東電は「健康被害の影響はない」とみている。
 二重扉開放により、水素爆発で破損した建物上部からの放射性物質飛散が懸念されたが、原発敷地内の測定点の値に目立った変化はなく、東電は「敷地周辺に影響はない」としている。
 また、東電は核燃料などの腐食を防ぐ対策として、燃料貯蔵プールに薬剤を混ぜた水を入れると明らかにした。プールに海水を入れていたためで、3、4号機から順次実施する。

3号機周辺でロボット 無人でがれき撤去

2011.5.10 13:06
福島第1原発3号機周辺の作業に使われる無人ロボット(東京電力提供)

 東京電力は10日、福島第1原発3号機への冷却設備設置に向け、がれきの撤去や放射線量の測定に無人ロボット計6台を投入すると発表した。3号機周辺でロボットを使うのは初めてで、放射線量の高い地点など、人での作業が危険な場所で活用を増やす。
 10日から使用を始めたロボットは、カメラ撮影や線量測定ができる1台と、がれきなどの重い物を積載・運搬できる2台で、どちらも米国製。11日以降、用途に応じて先端の工具を取り換えることができるスウェーデン製の3台も配備する。

温度抑制へ注水経路変更 3号機で配管工事

2011.5.10 17:33
 東京電力福島第1原発3号機で原子炉圧力容器の温度が上昇傾向を示していることを受け、東電は10日、圧力容器への注水経路を変更し、水をより確実に入れるため、タービン建屋内で配管の工事をした。経路切り替えは12日以降の予定。
 これまでの経路は途中の分岐が多く、圧力容器に十分に水が入っていない恐れがある。東電は別の経路を使うことにし、配管の途中にタンクからのホースをつなぎ込んで水を入れることにした。 3号機では5月に入って温度の上昇傾向が鮮明になり、圧力容器上部は、4月末には80度台だったが5月8日には217度に達し、高い状態が続いている。
 東電は、3号機の原子炉建屋の出入り口周辺で、新たに使い始めた無人ロボットによるがれきの撤去を続けた。