福島事故、事態改善の兆し IAEA高官
2011.4.8 00:46
国際原子力機関(IAEA)のフローリー事務次長は7日の記者会見で、福島第1原発の状況は「依然として深刻」としながらも、電源の復旧作業など「幾つかの面で改善の兆しが見え始めている」と述べた。
また、フローリー氏は、IAEAの原子炉の専門家2人が同原発を訪れたと明らかにした。日本側と意見交換などをしたという。
(2)炉心溶融 「可能性ゼロ」現実に
2011.4.9 08:33
電源喪失により、1〜3号機では、安定的に原子炉に水を注入できなくなった。燃料棒内部の放射性物質(放射能)が放出する「崩壊熱」で水が蒸発し、水面上に露出。熱に強いジルコニウム合金製の「被覆管」が溶ける1200度以上に達し、日本原発事故史上最悪の「炉心溶融」が始まった。
「小さい確率の事態が全部実現すれば、炉心溶融につながることは論理的には考え得る」。昨年5月の衆院経済産業委員会での経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長の答弁だ。
「多重防護の考え方で設計されており、安全性は確保されている」とも語り、可能性はほぼゼロに近いと否定してみせた炉心溶融は、1年もたたずに現実となった。
原発は「5重の壁」を安全性の大前提としている。燃料のウランを陶器のように焼き固めたペレットに加工し、被覆管で覆い、圧力容器に納め、格納容器で守り、建屋が囲む。
原発安全3原則のうち「止める」は機能したが、電源喪失により「冷やす」機能が失われたことで、「閉じ込める」機能もすべて破られ、放射能汚染が広がった。
原子力安全委員会は平成4年5月に電源喪失などの「シビアアクシデント」に対応できる備えを政府や電力会社に要請した。だが、「数時間後には復旧できるという考え方に基づく設計」(保安院)が見直されることはなかった。
「電源喪失で何が起きるかを想定すれば、とるべき対策があったはずだ」。宮健三東京大名誉教授は“想定外”は言い訳にならないと断じた。
原発の五つの壁、破れた 西山審議官が反省の弁
2011.4.9 12:56
「五つの壁があるなんて言ってきた。私も多重防護で絶対大丈夫と信じてやってきたが、こういう事態になった」。経済産業省の西山英彦官房審議官(原子力安全・保安院担当)は9日午前の記者会見で反省の弁を述べ、これまでの原発の安全規制に甘さがあったことを認めた。
東京電力福島第1原発では多重防護が破れて放射性物質が周辺に拡散、事故が一向に収束できない状態が続いている。西山審議官は「国民の不安が高まっている。すべてのことについて、安全の方向に、早急に手を打つ必要がある」と自らに言い聞かせるように話した。
発言のきっかけとなったのは、7日深夜の余震で、東北電力東通原発の非常用ディーゼル発電機がすべて使えなくなったこと。西山審議官は「東通で起こったことを考えると、これまでの対応は十分でなかった」とした。
高濃度汚染水きょう移送
2011.4.10 10:26
福島第1原発事故で東京電力は10日、2号機タービン建屋近くの立て坑にたまっている高濃度の放射性物質を含む水を、同建屋内の復水器(容量3千トン)に収容する準備を進めた。午後にも移送を開始する。
高濃度の汚染水は1〜3号機のタービン建屋内外で見つかっており、総量は約6万トンとみられている。原子炉などの冷却機能を復旧する作業を阻んでおり、早期の除去が課題となっている。
2号機タービン建屋では、満杯だった復水器の水を別のタンクに移し替える作業が9日に終了した。立て坑に設置した水中ポンプで汚染水をくみ上げ、ホースで空の復水器に送り込む。 高濃度汚染水の貯蔵先の一つに予定されている集中環境施設からは、比較的低濃度の汚染水を海に放出する作業が続いた。
無人機で燃料プールの状況確認 東電が福島第1原発で
2011.4.10 21:39
東京電力は10日、福島第1原発で、米国製小型無人ヘリコプター「T−ホーク」を使い、原子炉建屋内の使用済み核燃料プールなどの確認作業を実施した。同ヘリで、施設の状況を確認するのは初めて。15時59分に離陸し、約30分間、1〜4号機の地上150メートル地点から状況を確認した。画像については、11日に公表する予定という。
東電によれば、無人ヘリを使うことで、爆発などで原子炉建屋の屋根が吹き飛んだ1、3、4号機のプールの状況確認が行えるほか、プール付近の空中放射線量が測定できるという。
同ヘリは、米軍がイラクなどでの偵察活動に使っている。無線で遠隔操作ができるうえ、ホバリングや垂直移動が可能で、障害物を避けながらプールに接近することができるという。
海に放出した汚染水「回収難しい」 長期的には薄まり拡散
2011.4.11 10:31
30年で太平洋全域に
福島第1原発では、東京電力が放射性物質を含む汚染水の海へ放出した。専門家は「長期的には海に広がってかなり薄まるが回収は難しい。監視を強化し、生物の体内で濃縮が起きないかどうか注意してほしい」と指摘している。 放出したのは、比較的濃度の低い汚染水でこれまでに約9000トン。ほかに2号機周辺には、炉心から出た放射性物質を含む高濃度の汚染水が推定2万トンあり、いったん止まった海への流出が再び起きる懸念もある。
日本原子力研究開発機構の中野政尚技術副主幹は過去に、茨城県沖から半減期が約30年の放射性セシウムが広がった場合のシミュレーションをした。海流に乗って5年ほどで北米に達し、10年後にアジア東部、30年後には太平洋のほぼ全域に広がった。
今回、福島県沖からも同様に拡散すると予測。ただ高濃度の汚染水が2万トン流れ出たと想定した場合でも、濃度は1年後に1リットル当たり約1ベクレル未満、10年後には同0・1ベクレル未満と人体に影響のないレベルになるとみる。
食物連鎖で濃縮も
気象研究所の青山道夫主任研究官は今回の事故で同様の流出量を想定すると、汚染水の流出後1カ月でセシウムが福島県の沿岸域に1リットル当たり最大40ベクレルの濃度で広がると推測。セシウムは長期間残るが、時間がたてばかなり薄まるという。
青山さんは「今の科学技術ではいったん出した放射性物質の回収は難しい」と強調。食物連鎖により魚介類の体内で放射性物質が濃縮する恐れがあるため「環境中の濃度を監視し、濃縮が起きる危険を警告することしか対処法はない」と指摘する。 東電が比較的低濃度の汚染水を意図的に海に放出したことに、国内外から懸念の声も上がった。青山さんは「東電は放射性物質の放出が最小となる方法で事態を収拾させるべきだ」と訴えた。
政府が福島・飯舘村に全員避難を要請 「1カ月以内」めどに
2011.4.11 12:07
東京電力福島第1原発の事故で、高い放射線量の数値が続いている福島県飯舘村に対し、政府が避難指示区域の拡大に備え、期間を設けて計画的に村民を避難させるよう要請したことが11日、分かった。飯舘村が明らかにした。
門馬伸市副村長は村議会災害対策特別委員会で「原則(村民)全員に避難してもらう。国は1カ月以内を目安に避難させてほしいとしている」と話した。
同村は東京電力福島第1原発から北西に半径30〜50キロ圏にあるが、一部が屋内退避区域の20〜30キロ圏に入っている。村内の小中学校校庭の放射線量調査で最も高いところで
毎時18・2マイクロシーベルトを記録するなど、周辺より高い数値が出ていた。 飯舘村の人口は約6500人で、すでに約千人が村外に自主避難した。 現在、福島原発から20キロ圏内は避難指示区域となっているが、政府は同圏内について、退去命令など強制措置が可能な警戒区域とする方針を固めている。
「年間被曝300ミリシーベルト超」と推計 避難予定の浪江町
2011.4.11 22:40
原子力安全委員会は11日、福島第1原発事故で新たに「計画的避難区域」となる予定の福島県
浪江町の一部で、事故発生から1年間の
積算被曝(ひばく)放射線量が300ミリシーベルトを超えるとの推計を明らかにした。 政府は、1年以内の積算被曝線量が20ミリシーベルトに達する恐れのある地域を計画的避難区域とする方針だが、推計値はその15倍以上となる。 原子力安全委は、人体に影響を与える恐れを認めた上で「4月初旬の測定値が、来年3月まで継続すると仮定した推計で、実際の積算線量はこれより低くなると考えている」と説明した。 原子力安全委の班目春樹委員長は会見で、計画的避難区域の設定について、福島第1原発事故が収束した時点で見直すことが適当とし、数カ月は解除されないとの見通しを示唆した。
1〜4号機個別復旧プラン策定 難題山積、実現性?
2011.4.11 23:59 (1/2ページ)
発生から1カ月が経過した東京電力福島第1原子力発電所事故で同社と経済産業省原子力安全・保安院は、1〜4号機の損害状況に応じた個別の復旧プランの策定に着手した。ただ、いずれも復旧の障害となる難題を抱えるうえ、高濃度の汚染水と高レベルの放射線量に阻まれ、正確な状況を把握できておらず、具体的なプランは見えない。原子炉や核燃料貯蔵プールを安定的に冷却できるめどについて、保安院は「数カ月単位の時間がかかる」(西山英彦審議官)と繰り返すばかりだ。
1号機
1号機の炉心燃料棒について、東電は「全体の7割程度が損傷している可能性がある」と推計しており、溶融が最も激しいとみられる。燃料棒の熱も高く、原子炉の表面温度が設計想定の302度を上回る400度に一時上昇。現在も200度台で推移し、2、3号機よりも高い。 復旧プランでは、原子炉の余熱でつくった蒸気を水に戻して、原子炉に注水する非常用冷却システムを活用。
注水で発生した蒸気を水に戻し、原子炉に再注水する循環システムの構築を検討している。東電は「システム自体は壊れておらず、再稼働できる可能性がある」と期待するが、損傷した燃料に触れた蒸気は大量の放射性物質(放射能)を含んでおり、実現を疑問視する声が出ている。 原子炉を覆う格納容器を水で満たし、「水没」させて冷やす案も浮上しているが、容器内の圧力上昇がネックとなりそうだ。
2号機
2号機は3月15日に原子炉建屋内で爆発が起き、格納容器につながる圧力抑制室が損傷。そこから通常運転時の原子炉の水の約10万倍に上る高濃度汚染水が漏出している可能性が高い。汚染水は配電盤など重要設備のある発電用タービン建屋地下にたまり、復旧の最大の障害になっている。
また原子炉建屋内にあり、安定的な冷却に欠かせない水を循環させて海水との熱交換で水を冷やす「残留熱除去システム」は爆発で損傷している恐れがあるが、放射能漏れで近づけず、修復は難しい。
このため、新たに同システムを外部に構築する案が有力視されるが、具体策のめどは立たない。漏出した汚染水を原子炉に戻し循環させる案もあるが、高濃度放射能の除去の必要があり、難作業だ。
3号機
3号機は14日の水素爆発で、建屋が最も激しく損壊しており、格納容器の配管が損傷し、2号機と同様に汚染水が大量に漏出している恐れがある。また、残留熱除去システムも被害を受けている可能性があり、「復旧は厳しい」(関係者)との見方がある。
汚染水の移送先であるタービン建屋内の「復水器」では、「水が増え続けているが、原因は不明」(保安院)という状況で、排水作業も進んでいない。このため、2号機と同様に、外部構築の検討が必要になりそうだ。
4号機
震災時に定期点検中だった4号機では、核燃料貯蔵プールにある高熱の使用済み燃料への対応が最大の課題だ。現在は、生コン圧送車で注水し水の蒸発分を補給しなんとか危機的な状況を回避している。1〜3号機のプールも同じ状況で、注水した水を循環させるシステムの復旧が急務だ。
さらに使用済み燃料をプールから取り出し、安全に保管できるのかも問題だ。水から露出すると高い放射線を放出するため、建屋内部で遠隔操作で搬出する必要があるが、建屋に加え、クレーンなどが爆発で壊れている可能性があり、取り出し方法の検討を迫られている。
福島原発事故、最悪「レベル7」に引き上げ チェルノブイリ並み
2011.4.12 09:20
東京電力の福島第1原子力発電所の事故で、政府は12日、広い範囲で人の健康や環境に影響を及ぼす大量の放射性物質が放出されているとして、国際的な基準に基づく事故の評価を、最悪の「レベル7」に引き上げることを決めた。「レベル7」は、旧ソビエトで25年前の1986年に起きたチェルノブイリ原発事故と同じ評価。原子力安全・保安院が同日、原子力安全委員会とともに記者会見し、評価の内容を公表する。
原子力施設で起きた事故は、原子力安全・保安院が、原発事故の深刻度を示す「国際評価尺度(INES)」に基づいて、レベル0から7までの8段階で評価している。
原子力安全委員会はこれまでに、福島第1原発からは最大で1時間当たり1万テラベクレル(1テラベクレル=1兆ベクレル)の放射性物質が、数時間にわたり放出されたと試算していた。安全委では、現在は同1テラベクレル以下になったとしているが、INESの評価では、放射性のヨウ素131換算で、外部への放射性物質の放出量が数万テラベクレル以上である場合はレベル7に当たるとしている。
原子力安全・保安院は、福島第一原発の1号機から3号機について、先月18日、32年前の1979年にアメリカで起きた、スリーマイル島原発での事故と同じレベル5になると暫定的に評価していた。ただ、これまでに放出された放射性物質の量がレベル7の基準に至ったため、評価を見直すことにした。
福島原発事故、最悪「レベル7」と発表 チェルノブイリ並み
2011.4.12 11:03
東日本大震災で被災した東京電力福島第1原子力発電所の事故について、原子力安全・保安院は12日、国際評価尺度(INES)の暫定評価を従来の「レベル5」から、史上最悪の原子力事故とされる旧ソ連のチェルノブイリ原発事故と同じ「レベル7」に引き上げたと発表した。原子炉や使用済み燃料プールの冷却機能が失われ、大量の放射性物質が外部に放出されるという事態が、レベル7の示す「深刻な事故」に相当すると判断した。
安全保安院と原子力安全委員会は同日午前、共同会見を開き評価内容を公表。福島第1原発から大気中への放射性物質の放出量を保安院は37万テラベクレル、原子力安全委員会は63万テラベクレルになると試算した。INESは外部への放出量がヨウ素131換算で数万テラベクレル以上になるとレベル7と規定しており、この水準に該当すると判断した。
INESは国際原子力機関(IAEA)などが決めた、0〜7まで8段階の原子力事故評価尺度で、レベル7が最悪となる。世界の原発事故でレベル7と評価されたのは、これまでチェルノブイリ原発事故のみ。ただ、保安院は「今回の放射性物質の放出量はチェルノブイリ原発事故の1割程度で、事態はかなり異なる」(西山英彦審議官)との見方を強調した。
保安院は3月18日に、1〜3号機の評価を「事業所外へのリスクを伴う事故」として、米スリーマイル島発電所事故と同じレベル5と暫定評価していた。ただ、INESがレベル7で定める「放射性物質の重大な外部放出」に相当する試算が出されたことに加え、発生から1カ月が過ぎても原子炉の冷却機能の回復という事態の安定化に至っていない事態を重視、レベル7に引き上げた。
東電、「チェルノブイリ超える懸念も」
2011.4.12 12:39
東京電力の松本純一原子力・立地本部長代理は12日午前の記者会見で、政府が同日、福島第1原発事故を国際的な評価に基づく事故評価を最悪の「レベル7」に引き上げたことについて、「福島第1原発は放射性物質の放出を止め切れておらず、(放出量は)チェルノブイリ原発事故に匹敵、または超える懸念がある」との認識を示した。
原子力安全・保安院は同日午前の会見で、福島第1原発事故の放射性物質の放出量について、チェルノブイリ原発事故の1割とみられるとしている。ただ、福島第1原発では1〜3号機の圧力容器や格納容器が損傷している恐れがあり、松本本部長代理は「原子炉から放射性物質が100%外に出れば、チェルノブイリを超える可能性もある」と説明した。
原子力委員会委員長「原子力行政が変わる性格のものではない」
2011.4.12 12:47
近藤駿介・原子力委員会委員長の話 「レベルは放射性物質の放出量で決まるので、事故の進展によって変わることがある。また、今回は単一の原子炉ではなく、3つの炉心から放射性物質が出たとすれば規模が大きくなることもあり得る。ただし、レベルというのはあくまで状況を早く伝えるためのものであり、今後の原子力行政が変わる性格のものではない。原子力委員会としては、原発事故の発生確率が低くなるよう、最新の知見を持ってリスク管理を行っていただくよう、引き続き申し上げていく。避難している皆様のご苦労を少しでも軽くすることが使命だ」
迷走した事故評価、政府の対策も後手に
2011.4.12 13:04
福島第1原発の事故について、国際評価尺度で事故評価がレベル7に引き上げられたと発表する経済産業省の西山英彦審議官(左)と広瀬研吉・内閣府参与=12日午前、東京・霞ヶ関(緑川真実撮影)
福島第1原発事故が、国際評価尺度(INES)で最も深刻なレベル7に位置付けられ、広範囲に拡散した放射性物質による人の健康や環境への影響が一層懸念される事態となった。政府による、これまでの事故評価は迷走。農作物や水産物に加え、日本の輸出産品に与える風評被害も深刻になることは確実で、政府の対策が後手に回ったことは否めない。
INESは、放射性物質(放射能)の外部への放出と、原子炉炉心の重大な損傷という主に2つの基準で評価される。先月18日にレベル5と評価した際、保安院は炉心の損傷程度を「3%以上」とし、それを評価の根拠とした。
ただ、数万テラベクレル(1テラベクレル=1兆ベクレル)の放射性物質が放出されているという予測は以前からあり、レベル5から引き上げるのは時間の問題でもあった。引き上げに時間がかかったのは、レベル6の基準「数千テラから数万テラベクレル」とレベル7の基準「数万テラベクレル以上」の境界付近と推定されており、精査が必要だったとみられる。
今回、原子力安全委員会によるモニタリングデータをもとにした試算により、数時間だけで数万テラベクレルが大気中に放出されたという見方が強まった。レベル6に引き上げるより、試算が出た段階で早急にレベル7を認めることが、今後、海外の協力を得る上でも得策と判断したとみられる。
事故の評価については、政府の避難区域の設定で国際原子力機関(IAEA)や米国からも過小評価ではないかという批判を浴びていた。こうした事態を招いた背景には、深刻度の評価をめぐる国の迷走もある。
保安院は当初、福島第1原発について「外部への大きなリスクを伴わない」レベル4としたが、燃料損傷や放射性物質の放出を受けて3月18日に「大きなリスクを伴う」レベル5に改め、さらに今回の引き上げとなった。初めから厳しく評価していれば、より適切な対策が打てた可能性もある。
また今回の事故では農作物や水産物の風評被害なども含め、賠償額は最終的に数兆円規模に上るとみられていた。レベル7に引き上がることで、より賠償額が膨らむ可能性がある。
石原都知事発言に自販機業界が困惑 株価下落したメーカーも
2011.4.12 21:34
4選を果たした石原慎太郎東京都知事が、電力消費が多いとしてパチンコ店と並んで批判したのが自動販売機だ。ヤリ玉に挙げられた自販機メーカーの業界団体は「夏場午後は冷却機能を停止して消費電力を10分の1以下にするなど省エネに取り組んでいるのに」と困惑している。 石原知事は自販機について「軒並み自販機が並んでいるバカな国は、世界中にない」「便利かもしれないが自分の家で冷やせばよい」と強く批判、見直しが必要だとの持論を展開している。 こうした発言を受けて10日の株式市場では、硬貨・紙幣処理機メーカー大手で自販機も手がけるグローリーの株価が下落する場面もあった。
東京電力管内の清涼飲料水の自販機は約84万台で、1日の消費電力量は
約400万キロワット時、一般家庭の41万世帯分の電気を使っているとの試算もある。 こうした“自販機悪玉論”に対して「われわれは以前から粛々と省エネ対策をやっている」と訴えるのは、自販機メーカーで作る業界団体の日本自動販売機工業会だ。
震災後、すでに24時間の消灯を実施中で、最新機種では15%程度の節電になっている。そして、年間の電力需要のピークとなる夏場の午後の対策はすでに実施済みだというのだ。 「実は、国内のすべての缶やペットボトルの清涼飲料水の自販機は7月から9月の3カ月間、午後1時から4時までの3時間、冷却機を停止している」(同工業会)というのだ。 電力需要の少ない午前中から午後1時の間に商品の冷却を済ませ、午後4時まではお金の識別をする微量の電力と待機電力しか使われておらず、この間の1台あたりの消費電力は17ワット時と、通常運転時(280〜300ワット時)の約16〜17分の1と大幅に小さくなるという。
一方、石原知事から同様に批判されたパチンコ店の業界団体、全日本遊技事業協同組合連合会は、震災後にネオンの終日消灯に協力するよう各社に依頼。夏場の電力使用量の削減に向けて、利用客が座っていない遊技機の電源を切るなど店内の大幅な電力削減を求めていく方向だ。 全日遊連は「節電でやれることはやる」(広報担当)と、徹底した節電に取り組む姿勢を示している。
「1カ月後の確認」に驚き 米紙、政府対応遅れを批判
2011.4.12 13:49
米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は11日、福島第1原発事故の深刻度が国際評価尺度で最悪の「レベル7」と変更されたことについて「最も驚いたのは、このような大量の放射性物質が放出されたと公的に認めるまでに1カ月かかったことだ」と指摘する米原子力専門家の批判的な内容を紹介、日本政府の対応の遅さを強調した。
記事は「日本の原子力災害、チェルノブイリと並ぶ」との見出しで「何人かの原子力産業関係者は数週間にわたり大量の放射性物質が放出されたと指摘してきたが、日本政府当局者は一貫してその可能性を低く見積もってきた」とも指摘した。(共同)
4号機プール燃料の損傷確認へ ポンプ車使い水を採取
2011.4.12 10:52
東京電力は12日、福島第1原発4号機の使用済み燃料プールの状態を調べるため、コンクリートポンプ車を使って水を採取する。4号機は燃料が露出して損傷した恐れがあり、水に含まれる放射性物質の種類や量を詳しく調べる。 ポンプ車のアームで容器をつり下げてプール内に下ろし、水を採取。燃料が破損すると被覆管内部に閉じ込められた放射性物質が漏れ出る可能性があり、物質の種類や水の温度、プール上の放射線量も調べる。3号機でも同様の調査を予定。
また2号機の立て坑にたまった高濃度汚染水を復水器に移送する作業も行う。11日に実施予定だったがホースの継ぎ目で水漏れが見つかり、余震で作業が遅れた。
菅首相、原発事故見通し提示を東電に指示
2011.4.12 19:05
菅直人首相は12日の記者会見で、東日本大震災に伴う福島第1原発事故について、今後の見通しを示すよう東京電力に指示したことを明らかにした。同時に、原発事故被害者に関し「最後の最後までしっかり支援していく。第一義的には東京電力の責任だが、適切な補償が行われるよう政府が責任を持たなければならない」と述べた。 復旧・復興に向けた2011年度補正予算案や関連法案に関連し「野党にも、被災地復興の青写真をつくる段階から参加してほしい」と述べ、野党に協力を呼び掛けた。
首相は、原発事故による避難指示や農水産物の出荷制限などで大きな不便と被害が生じたとして「政府を代表して深くおわびする」と陳謝。原発の現状に触れ「一歩一歩安定化に向かっており、放射性物質の放出も減少傾向にある。これ以上の被害拡大を押しとどめるため、全力を挙げて対策を進めていく」と強調した。
福島第1原発、高濃度汚染水の移送始まる 2号機立て坑から復水器に
2011.4.12 20:18
東京電力は12日午後7時35分から、福島第1原発2号機近くの立て坑にたまっている高濃度の汚染水をタービン建屋内の復水器(容量3千トン)に移送する作業を始めた。東電は作業中の水の漏洩(ろうえい)を防ぐため、ホースからの放射線を遮蔽するため、鉛のマットを巻いたり、復水器内の配管から汚染水が海に漏れる恐れに備えてポンプを設置するなどの対策を取った。移送量は700トンを予定している。 高濃度の汚染水は1〜3号機の建屋内外で計約6万トンに及ぶとみられ、一部は海にも流出した。第1原発の危機的状況の打開に向け、大きな課題になっている。
微量のストロンチウム検出 原発30キロ圏外の土と植物
2011.4.12 21:47
文部科学省は12日、東京電力福島第1原発の30キロ圏外で、福島県内の土壌や植物から微量の放射性ストロンチウムを検出したと発表した。今回の事故を受けた調査でストロンチウムの検出は初。ストロンチウムの濃度限度について法令に基準値はないが、同省は「極めて少ない量で、健康に影響はない」と説明している。専門家は蓄積した場合の健康影響を懸念、分布の本格調査が必要だ。
ストロンチウムはカルシウムに似た性質があり、体内に入ると骨に取り込まれやすい。内部被ばくではガンマ線よりも危険度が高いとされるベータ線を出し続け、骨のがんや白血病の原因になる恐れがあると考えられている。土壌では、空間放射線量の高かった福島県浪江町と飯館村の計3カ所を調べ、ストロンチウム89は1キログラム当たり13〜260ベクレル、ストロンチウム90は同3・3〜32ベクレルだった。
ストロンチウム
原子番号38の元素。放射性のストロンチウム90はウランが核分裂するとでき、半減期は約29年。カルシウムと似た性質があるため、体内に入ると骨などに蓄積し、骨のがんや白血病を引き起こす恐れがある。野菜などが取り込んだものや、牧草を経て牛乳に含まれたものが体内に入ることがある。チェルノブイリ原発事故や核実験などでも飛散し、問題となった。ストロンチウム90が分解してできるイットリウム90も強力な放射線を出す。
第1原発の汚染水、復水器への移送続く 40時間かけ700トン
2011.4.13 09:33
福島第1原発事故で東京電力は13日、2号機のタービン建屋外の立て坑で見つかった高濃度の放射性物質で汚染された水を、建屋内の復水器へ移す作業を続けた。12日夜に始め、約40時間かけて700トンを移す。
内部の水を海へ放出する作業を終えた集中廃棄物処理施設では、地震などでひび割れがないかの確認を進めており、点検が終われば2号機から同施設に汚染水を移す作業を始める。
2号機の取水口付近で海に流出した汚染水の放射性物質が拡散するのを防ぐため、2号機の取水口の前に鉄板を入れる作業を進める。ポリエステル製のカーテンのような「シルトフェンス」も3、4号機の取水口に設置する。
4号機の使用済み燃料プールで採取した水を第2原発に持ち込み、水に含まれる放射性物質の種類や量を分析する。
福島第1、復水器に汚染水移送続く 立て坑水位わずかに低下
2011.4.13 11:51
福島第1原発事故で東京電力は13日、2号機のタービン建屋外の立て坑で見つかった高濃度の放射性物質で汚染された水を、建屋内の復水器へ移す作業を続けた。12日夜に始め、約40時間かけて700トンを移す予定。13日午前7時半ごろまでに推定で約200トンを移送し、立て坑の水位は4・3センチ下がった。
タービン建屋内外にたまっている汚染水は原子炉を冷却する作業の大きな妨げとなっており、処理が急がれている。内部の水を海へ放出する作業を終えた集中廃棄物処理施設では地震などでひび割れがないか確認を進めており、点検が終われば2号機から同施設に汚染水を移す作業を始める。
2号機の取水口付近で海に流出した汚染水の放射性物質が拡散するのを防ぐため、2号機の取水口の前に鉄板を入れる作業を進める。
枝野氏、最悪の危険性、3月下旬に認識していた
2011.4.13 13:03
枝野幸男官房長官は13日の記者会見で、東京電力福島第1原子力発電所事故が国際原子力事象評価尺度(INES)のレベル7に相当する可能性があることを3月下旬に認識していたことを明らかにした。原子力安全委員会が同月23日時点で認識していたことについて「報告は受けていたが、推測の根拠のデータが3カ所で確信を持てないから、早く確実に分析ができるよう指示した」と述べた。
また、「(レベル7の水準ということが)ほぼ確からしいことは4月11日に報告があり、12日に発表した」と述べ、レベル7引き上げの報告を受けたのは4月11日だったと強調した。
東電社長、第1原発「少しずつ安定に」
2011.4.13 17:05
東京電力の清水社長は13日の会見で、福島第1原発の現状について、外部電源が復活し、原子炉への注水が海水から淡水になったことなどを挙げて「少しずつ安定に向かっている」と述べた。
保安院、福島原発の耐震補強を指示 余震活発化で
2011.4.13 17:46
経済産業省原子力安全・保安院は13日、東京電力に対し、福島第1原子力発電所の原子炉建屋の耐震補強計画をまとめ、補強工事を行うよう指示した。東日本大震災の余震活動が、1カ月を経過しても活発な状態が続いているための措置。
福島第1原発では、水素爆発や火災発生で、原子炉建屋の外壁部分が大きく損傷しており、建屋の安全性を確保できない恐れが高まっている。原子力安全・保安院では「復旧作業を円滑に進めるためにも必要」としている。
気象庁は「余震活動はいまだに活発」とし、今後3日以内のマグニチュード7以上(最大震度5強以上)の発生確率を「10%」と予測している。
福島原発、4号機の使用済み燃料損傷の可能性
2011.4.13 20:16
東京電力は13日、福島第1原子力発電所4号機の使用済み核燃料プールで採取した水から、1立方センチメートル当たり401ベクレルの放射性物質が検出されたと発表した。東電は「一部の燃料棒が損傷した可能性は否定できない」としている。
東電によると、12日に大型ポンプ車を使いプールから水を採取。分析の結果、1立方センチメートル当たりの放射性ヨウ素131は220ベクレル、セシウム134は88ベクレル、同137は93ベクレルだった。平常時のプールではヨウ素131やセシウム134の濃度は検出限界以下という。
東電の松本純一原子力・立地本部長代理は会見で、燃料棒損傷の原因として「外部電源が喪失し、燃料の冷却が不十分だった」と推定したが、「(放射性物質の)量としては相当高い濃度ではない」とした。
また、4号機で3月15日に発生した火災や爆発については「プールの燃料が冷却できずに水素爆発を起こした可能性はあると思うが、詳細は調査したい」と述べるにとどめた。
福山副長官、レベル7発表で「遅かったのは反省しなければいけない」
2011.4.13 23:00
福山哲郎官房副長官は13日夜、BSフジ「プライムニュース」で、東京電力福島第1原子力発電所の事故が国際評価尺度の「レベル7」への引き上げについて「遅かったのは反省しなければいけない。もう少し早く発表すべきではなかったかとの批判は、真摯(しんし)に受け止めなければいけない」と陳謝した。 福山氏はまた、菅直人首相が同日、松本健一内閣官房参与との会談で原発周辺での居住が長期間困難になるとの認識を示したとの報道に関し、「首相が本当に言ったとは思えない。参与の方には気をつけてほしい」と苦言を呈した。
政府、先月下旬には認識 お粗末対応で「日本不信」増幅
2011.4.14 00:13 (1/3ページ)
東日本大震災から1カ月以上経過した後に、福島第1原子力発電力の事故を国際原子力事象評価尺度(INES)で最も深刻な「レベル7」に引き上げた政府の対処方針に疑念が生じている。枝野幸男官房長官は13日の記者会見で、先月下旬には「レベル7」の可能性を認識していたと説明。13日にはほかにも政府の“お粗末な”対応が次々と明らかになり、事態収束どころか「日本不信」を増幅させる事態になっている。
1カ月遅れの追認
「報告は受けていた」
枝野氏は記者会見で、原子力安全委員会から3月23時点で今回の原発事故について「レベル7の可能性がある」と報告を受けていたことを明らかにした。 半月以上も事態を放置したことになるが、枝野氏は「不確かなことを政府見解として報告していいかどうかの問題もある」と釈明。
ただ、今回のレベル引き上げは3月15日ごろの放射性物質量が根拠。現在は1万分の1に減っている。事故発生から1カ月後の「追認」は、国際社会に「現在もチェルノブイリ事故と同じ状態」との印象を与えかねない事態を招いている。
放出後に「予定」通知
13日の衆院外務委員会では、東電による低濃度放射能汚染水の海への放出について、外務省が各国の在京大使館への通知をすべて終えたのが「放出後」だったことが明らかになった。
外務省は4日午後4時の外交団への説明で東電の放出方針を報告したが、出席したのは東京に大使館を置く149カ国中51カ国。東電はその後、7時すぎの放出開始を発表し、7時3分に放出を始めたが、外務省が各国大使館に「緊急」と題してファクスやメールを送り始めたのは7時5分。文面は「今夜遅く行われる予定」としたままだった。
松本剛明外相は事実を認めて釈明したが、こうしたちぐはぐな対応が韓国首相の「日本は無能」発言につながった側面は否めない。
感謝広告も限定的
菅直人首相名で11日付の外国紙に掲載した「感謝広告」にも批判が出ている。掲載したのは、国際英字紙インターナショナル・ヘラルド・トリビューンと米英仏中韓露の1紙ずつの計7紙。ドイツやイタリア、台湾、インドなど震災への支援を表明した134カ国・地域の大半に広告を掲載することができていない。 ネックになっているのは広告予算。松本氏は衆院外務委で「復興にお金を振り向ける中で、ギリギリの範囲で予算の枠を設けた」と述べた。だが、広告の掲載がなかった在外公館からは「『日本に感謝されていない』との誤ったメッセージを与える」との不満が漏れている。
首相「20年住めない」発言に、公明代表が「極めて無責任」批判
2011.4.14 11:59
公明党の山口那津男代表は14日午前の党中央幹事会で、菅直人首相が松本健一内閣官房参与に東京電力福島第1原発の半径30キロ圏の避難・屋内退避区域に「10〜20年住めない」と語ったと報じられたことについて、「極めて無責任な発言だ。そういうことが首相サイドで出てくることで、住民、関係自治体がどれほどの影響を受けるかきちんと踏まえて対応してもらいたい」と苦言を呈した。
山口氏は、「政府のその他の(震災)対応をみても発言の影響が現場にどう及ぶかに対する周到な配慮、事前の情報伝達が不十分でちぐはぐだ。こんなことは絶対にこれからやめてもらいたい」と政府の震災対応を強く批判した。
自民・大島氏、首相「20年住めない」発言に「人の心が分からない」批判
2011.4.14 13:00
自民党の大島理森副総裁は14日昼、菅直人首相が東京電力福島第1原発の半径30キロ圏の避難・屋内退避区域に「10〜20年住めない」と発言したとされた問題で「福島県民は毎日苦しみ、いずれは生まれ育った地に戻りたいという願望を持っている。もはや首相にリーダーとしての資格はない。人の心が分かっていない」と強く批判した。党本部で記者団の質問に答えた。
社民党の又市征治副党首も同日午前の常任幹事会で「まるで評論家のようだ。そんなことを言う前に、やることをやったのか。とんちんかんなことを言っている」と批判した。
福島原発、余震対策の作業開始 外部電源多重化や発電機移動
2011.4.14 13:35
東京電力は14日、福島第1原子力発電所の余震対策のため、外部電源の供給ルートを多重化するなどの作業を始めた。11日の震度6弱の地震で外部電源の供給が一時的に途絶え、原子炉への注水が約50分間にわたって停止する事態が発生、緊急時の電源確保体制の整備が急務となっていた。
現在、外部電源は1、2号機側と3、4号機側で、それぞれ異なるルートから供給されている。この2つの供給ルートを連携し、切り替え可能にするための電源設備の工事を行う。地震で片方の送電線が切れるなどしても、もう一方のルートで電源供給できるようバックアップできる態勢を整える。 また、津波対策として、非常用ディーゼル発電機と原子炉注水用の仮設ポンプを高台に移動する。いずれも海抜約10メートルの1号機周辺にあるが、同約20メートルの高台に移す。東日本大震災で福島第1を襲った津波の高さは約14〜15メートルだった。
現在、非常用電源への切り替えは手動で行うため、津波警報が出るなどした場合に、作業員が現場に近づけないという問題点があった。作業員の避難場所である免震重要棟に近い高台に発電機などを移動することで、速やかな電源復旧を目指す。
汚染水貯蔵用タンクを輸送 米、福島事故受け日本に
2011.4.15 00:02 米エネルギー省が福島第1原発事故の収拾に向け、放射性物質で汚染された水を貯蔵するためのステンレス鋼製の五つの大型タンクや、汚染水用の特殊タンクを備えたトレーラーを日本に輸送していることが14日、分かった。在日米大使館が声明で明らかにした。
声明は大型タンクなどの詳しい用途に言及していないが、福島第1原発では1〜3号機のタービン建屋内外に大量にたまり、原子炉冷却作業の妨げとなっている高濃度汚染水の移送、保管先の確保が大きな課題となっており、こうした課題を克服するための対日支援の一環とみられる。
タンクやトレーラーの到着日時や大きさなど詳細は不明。経済産業省原子力安全・保安院の広報担当者は輸送について「把握していない」としている。
浅みに生息 漂う汚染水影響か 基準値超え、なぜコウナゴだけ?
2011.4.15 00:04
東京電力福島第1原発の事故に伴い、漁業関係者が打撃を受けている。国の暫定基準値を超える放射性物質が検出されたのはコウナゴ(イカナゴの稚魚)だけだが、なぜ他の水産物からは検出されないのか。
初めてコウナゴから高濃度の放射性物質検出が明らかになったのは今月4日。茨城県北茨城市の平潟漁協が同市沖で取ったコウナゴから1キロ当たり4080ベクレルの放射性ヨウ素が検出された。以降、茨城と福島県沖のコウナゴから基準値を超えるヨウ素やセシウムの検出が4件相次いだ。
国の要請を受け、千葉県や神奈川県など周辺自治体も検査を実施。キンメダイやマサバ、カタクチイワシなどを調べているが、福島、茨城両県沖のコウナゴ以外からの検出はない。水産庁は「(コウナゴが)海面下の浅いところを泳いでいるため、大気中の放射性物質が海に降り注ぐと、放射性物質の濃度が一時的に高くなり、その影響を受けているのではないか」と説明。農林水産省によると、海水より軽い汚染水が水面近くを漂い、浅い海にいるコウナゴに影響している可能性もある。
「検査方法が影響している」と指摘する専門家もいる。サバなど比較的大きな魚は、頭などを取り除き、可食部のみを検査するが、小さなコウナゴは、一定量を体全体まとめてすり身にして調べる。このため、体内に残った放射性物質を含む海水も検体に含まれる。
検査を実施する水産総合研究センターの桑原隆治広報室長は「詳細なデータを取ったわけではない」とした上で、「コウナゴが他の魚に比べ、特別に放射性物質を取り込みやすいというわけではないと思う」と話している。
福島原発1〜3号機、燃料の一部溶け落ち 原子力学会が見解
2011.4.15 06:33
東京電力福島第1原子力発電所事故について、日本原子力学会が設置した事故調査委員会は14日、1〜3号機の炉心燃料棒の一部が溶け落ち、原子炉圧力容器の下部にたまっているとの見解を示した。溶け落ちた燃料は注水で冷やされ、固体状に固まり、原子炉に穴が開くなどの損傷の恐れはないとしている。
同委員会では、各号機の原子炉の表面温度や内部の放射線量などのデータから、燃料棒を覆う「被覆管」が溶け、内部の放射性物質(放射能)が漏出するだけでなく、燃料の一部が、数ミリの粒状になり、溶け落ちる高温になったと推計した。
原子炉の損傷は回避されたが、注水が2、3日間途絶えると危険な状態になるため、余震への注意が必要としている。
調査委の澤田隆・主査は都内で開いた会見で、「現在、原子炉は安定した状態で、放射性物質の大量放出の可能性は極めて低いが、原子炉の安定した冷却には2、3カ月かかるだろう」と、述べた。
福島原発、地下水の放射性物質濃度が上昇 1週間で数倍〜数十倍
2011.4.15 06:57
東京電力は14日、福島第1原発1、2号機付近の地下水に含まれる放射性ヨウ素やセシウムの濃度が、1週間で数倍〜数十倍に上昇したと発表した。付近の高濃度の汚染水が地下にしみ出した可能性があるという。経済産業省原子力安全・保安院は東電に監視強化を口頭で指示した。
1〜3号機のタービン建屋や建屋外の地下には大量の汚染水がたまっており、2号機建屋外の立て坑の水位は、13日夕から14日午前にかけて約4.5センチ上昇。保安院は、汚染水の回収が十分に進まない中、原子炉への注水も続いていることが、地下水の濃度上昇や立て坑の水位に影響しているとみている。
3号機の圧力容器で温度が急上昇 「計器の故障」と東電
2011.4.15 07:04
経済産業省原子力安全・保安院は14日、東京電力福島第1原発3号機で、原子炉圧力容器の本体とふたの接続部付近の温度が急上昇したとのデータがあり、原因を調べていると発表した。他の部分で変化はなく、東電は「計器の故障が疑われる」としている。
保安院と東電によると、圧力容器の本体部分と上ぶたの接続部の密閉材料「シール」で、12日は170度だったのが14日には250度に。接続部直下の本体部分も12日の144度が、14日には165度を示した。
保安院は「原因は不明」と説明。接続部の設計温度は約300度で、ただちに危険な温度ではないとした。
一方、東電は14日、第1原発の原子炉建屋について、現在の耐震安全性を評価するための検討作業に入った。建屋は3月11日の東日本大震災で強い揺れや津波に襲われ、その後の水素爆発や火災で損壊。相次ぐ余震の影響も懸念されている。
福島原発、燃料溶け容器底に蓄積 「安定まで2、3カ月」原子力学会が見解
2011.4.15 09:07
東京電力福島原発の事故について、日本原子力学会の原子力安全調査専門委員会は15日までに、原子炉などの状況を分析した結果、1〜3号機で燃料の一部が溶けて原子炉圧力容器の底にたまっているとの見解を公表した。しかし注水で冷やされ、容器の底が損傷する恐れはないとしている。
溶けた燃料が圧力容器の底にたまりすぎると熱がこもり、容器を損傷する恐れがあるが、圧力容器の底部の温度データから、現状ではそこまでたまっていないとみられるという。
同学会の沢田隆副会長は「復旧作業が順調に進んでも、核燃料が安定して放射性物質が放出されないといえる状態になるまで、早くても2、3カ月かかる」との見通しを示した。
専門委員会は、東電や原子力安全・保安院が公表した情報を基に分析。1〜3号機の燃料棒は損傷し、燃料がゆっくりと溶け出して直径数ミリから1センチの粒となって圧力容器の底にたまっていると推測した。
米エネルギー省、汚染水の貯蔵で大型タンクを「迅速に発送」
2011.4.15 09:30
米国内で日本への輸送を待つ大型タンク(米エネルギー省提供・共同)
米エネルギー省は14日、福島第1原発事故の対応支援の一環として日本に輸送する五つの大型タンクや特殊トレーラーについて、到着日時は決まっていないことを明らかにした。同省当局者は「迅速な発送を目指す」と強調した。
福島第1原発では、放射性物質に汚染された水が1〜3号機のタービン建屋内外に大量にたまって原子炉冷却作業を妨げており、保管先の確保が課題。当局者は大型タンクについて、汚染水の貯蔵に使われるとの見方を示したが、具体的な用途は「日本政府が決める」と話した。
同省によると、タンクはそれぞれ長さ約11メートル、直径約2.7メートルで容量約6万リットル。四つがステンレス鋼製、一つは炭素鋼製で、米国では化学薬品の貯蔵に使われていたが内部は洗浄済みという。
トレーラーは容量約3780リットルのタンクや、放射性物質を測定、分析する装置を備えている。(共同)
東電、2、3号機取水口に放射性物質の吸着材を投入 海水放射能を浄化
2011.4.15 11:59
東京電力は15日、福島第1原発の2、3号機の取水口に、放射性物質(放射能)の吸着効果がある鉱物「ゼオライト」を配合した土嚢(どのう)を設置する作業を、同日から開始することを明らかにした。
ゼオライトを含む1袋100キロの土嚢を、2、3号機の取水口の前に、それぞれ5つずつ積む計画だ。
ゼオライトは、放射性のセシウムなどの除染効果があり、海水中の放射性物質の濃度を下げる効果が期待されている。
福島第1原発では、今月2日に2号機取水口付近の作業用のピット(穴)の亀裂から強い放射性物質を含む汚染水が海に漏れ出ていることが判明し、6日午前5時38分ごろに流出が止まったことが確認された。
また、東電は、低濃度の放射性物質を含む汚染水約1万トン超を海水に放出している。