毎日新聞 2012年07月01日 19時32分(最終更新 07月01日 20時00分)
東京電力福島第1原発4号機の使用済み核燃料プールの冷却装置で6月30日早朝、異常を知らせる警報が鳴り、自動停止した。東電は1日、応急措置で同日午後3時過ぎに冷却を再開したと発表した。水温は42.9度まで上昇した。
装置は30日午前6時25分ごろに停止し、当時の水温は33.3度だった。冷却が止まった約33時間で10度近く上昇したことになる。
4号機プールでは6月上旬も循環水ポンプの故障で冷却が一時止まったばかり。東電は今回の原因について、電源装置の一部に問題があったとみており、近く装置を交換する予定。
<コメント>
電源装置に問題があったと言うが、相変わらず危機管理ができていないのですね。米国からも建物の安全性が言われているのに大丈夫だと主張してきたが、電力会社が電気トラブルでは情けない。 電源系統の2重化がされていないのか?。 1日冷却ができないと10℃も上昇するのは恐ろしいですね。
(使用済み核燃料棒は、1535本)
東京電力福島第1原発事故を受け、国会が設置した事故調査委員会(黒川清委員長)は5日、「事故は自然災害ではなく明らかに人災だった。政府、規制当局、東電は人々の命と社会を守るという責任感が欠如していた」と厳しく批判する報告書をまとめた。事故当時、菅直人首相らが現場に直接指示を出したことも「現場対応の重要な時間を無駄にしただけでなく、指揮命令系統の混乱を拡大させた」と断罪した。 報告書は約640ページ。事故調は5日の会合で最終的に取りまとめ、衆参両院議長に提出した。
報告書では、東電の清水正孝社長(当時)が第1原発からの全面撤退を申し出て菅氏が阻止したとされる問題に関しては「東電で全面撤退が議論された形跡はない。菅氏が阻止したと理解することはできない」と結論づけた。その上で「重要なのは首相の能力、判断に依存するのではなく、国民の安全を守ることのできる危機管理の仕組みの構築である」とした。
東電側の対応についても「官邸の顔色をうかがい、官邸の意向を現場に伝えるだけの状態に陥った」と批判。「緊急時対応での事業者の責任、政府の責任の境界が曖昧だった」とした。
一方、事故の背景として「第1原発は地震にも津波にも耐えられる保証がない脆弱(ぜいじゃく)な状態だったと推定される」と指摘。「東電や原子力安全委員会などは地震や津波による被災の可能性、シビアアクシデントへの対策、住民の安全保護など当然の備えをしていなかった」と批判した。
根源的な原因として「規制する立場と規制される立場が逆転し、原子力安全についての監視機能の崩壊が起きた」と認定。「規制当局の防災対策への怠慢と、官邸の危機管理意識の低さが、住民避難の混乱の根底にある」と結論付けた。