福島の早場米、すべて基準値下回る 一般米で微量セシウム

2011.9.9 21:52 福島県は9日、県内の20市町村101地点で行っていた早場米の緊急時モニタリング検査を終えた。全検体が放射性セシウムの暫定基準値(1キロあたり500ベクレル)を下回った。福島、二本松市など計10検体で微量(同10〜41ベクレル)のセシウムが検出された。これを受けて全県の栽培農家で早場米の出荷が認められた。
 刈り入れが本格化する一般米も、9日から予備検査の結果公表を始めた。初日は6市町村51検体のうち、棚倉町の1検体で同98ベクレル、塙町の1検体で同14ベクレルの放射性セシウムを検出。棚倉町の検体について、県は「近くに山などがありセシウムを含む雨水が集まった可能性がある」としている。
 予備検査は収穫時の本検査の精度を決めるもので、同200ベクレル以下の区域は本検査では旧市町村ごとに2検体、超えた区域は15アールごとに2検体を本検査する。

コメの予備調査で500ベクレル検出 福島・二本松市、監視強化

2011.9.23 21:11 福島県は23日、同県二本松市で実施した収穫前の一般米の予備調査で、暫定基準値ちょうどの1キログラム当たり500ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。
 予備調査であり、暫定基準値を超えていないため出荷自粛の対象とはならないが、県は二本松市を今後実施する本調査では重点調査区域に指定、調査地点を大幅に増やし監視を強化する。
 500ベクレルが検出されたのは、二本松市の旧小浜町で採取した一般米の玄米。本調査で500ベクレルを超えた場合は旧市町村ごとに出荷が制限される。

福島・二本松市のコメ検出されず 放射性物質の本調査

2011.10.6 22:49 福島県は6日、収穫前の予備調査で国の暫定基準値と同じ1キログラム当たり500ベクレルの放射性セシウムが検出された同県二本松市の一般米について、収穫後の本調査で5地点の検体を調べた結果、放射性物質は検出されなかったと発表した。 二本松市の本調査で結果が出るのは初めて。旧下川崎村で収穫された一般米の玄米5検体で、放射性のヨウ素、セシウムの量はともに検出限界未満だった。県は今後、予備調査で高い数値が出た旧小浜町など残る283検体の調査を進める。 福島県は、予備調査で基準となる200ベクレルを超える検体が出た同市を「重点調査区域」に指定し、本調査での地点数を当初の38から288に大幅に増やし監視を強化している。 同県ではことし作付けが行われた48市町村のうち、本調査が終わった40市町村で一般米の出荷が可能となっている。

福島のコメ、全域で出荷へ 二本松市でも基準値以下

2011.10.12 13:20  コメの作付けが行われた福島県の全ての市町村で、一般米が収穫後の本調査の結果、全て国の暫定基準値(1キログラム当たり500ベクレル)を下回り、出荷可能となったことが12日、県への取材で分かった。 県は先月23日、収穫前の予備調査で唯一、一定基準の200ベクレルを超える500ベクレルちょうどの放射性セシウムが検出された二本松市を「重点調査区域」に指定。本調査で調査地点を大幅に増やし、監視を強化していた。 本調査では、500ベクレルを超えた場合、旧市町村エリアごとに出荷が制限される仕組みになっているが、最終的に全ての検体で下回ることが確認されたという。

冷温停止達成に向け2、3号機の注水量増加へ 福島第1

2011.9.16 12:22 福島第1原発事故で東京電力は16日、事故収束の工程表ステップ2の目標である「原子炉の冷温停止」の達成に向け、2、3号機の原子炉への注水量を同日午後から増加させると発表した。
 2号機への注水量を現在の毎時6トンから7トンへ、3号機は同7トンから12トンへと増やす。汚染水の処理が進み、外部流出のリスクが低下したためで、東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「試験的に注水量を増やし、温度変化の様子を見たい」と述べた。
 2、3号機では従来の「給水系」と、炉心に直接注水する「炉心スプレー系」と呼ばれる配管からの注水が行われている。このうち炉心スプレー系の注水量を増やし、原子炉の温度が100度以下になる冷温停止の達成を目指す。
 16日午前5時現在の原子炉圧力容器下部の温度は2号機が114・1度、3号機が103・3度。1号機は85・3度。

原発事故半年“現在”は 再臨界・爆発の可能性低く

2011.9.21 08:28  福島第1原発事故から半年が経過した。この間、現場では事故収束に向けたさまざまな作業が行われてきた。何が、どの程度改善されてきたのか。気になる原発の“現在”をまとめた。(原子力取材班)
 再び核分裂が起きる再臨界や爆発の危険性はもうなくなったのか?
 −−核燃料は適切な距離をあけて並べられていないと臨界は起きにくいとされており、現在のように燃料が溶融した状況では、再臨界の可能性は低いとされている。今回の事故で爆発の原因となった水素は、燃料を覆うジルコニウムという金属が水と反応したり、放射線が水にぶつかったりすることで発生する。現在も水素は発生しているとみられるが、爆発しないように原子炉内には常に窒素が注入され、水素などを外に押し出してたまらないようにする対策が取られている
 原子炉の冷却はどうなった?
 −−当初は消防ポンプ車を使って海水や真水などを原子炉に入れて冷却していたが、現在は循環注水冷却システムが完成。注水した水を浄化・冷却して再び原子炉に戻すシステムで、原子炉への注水はほとんど途切れることなく行われている
 各号機の地下にたまった放射能を含んだ汚染水はどうなった?
 −−6月には、あふれ出すまで十数センチという危機的な状況にあったが、これまでに約10万トンの汚染水を浄化しており、現在はあふれ出すまで約1メートルの余裕がある。東電は「1メートルの余裕があれば、大雨が降ってもあふれ出す危険性は大幅に減る」としている
 課題は?
 −−事故直後に放出された放射性物質により、高い放射線量のエリアがまだ多く残っている。1号機で終えていても、放射線量の高い2、3号機では難航している工事もたくさんある。また、汚染水処理に伴って出る放射性廃棄物の処理方法なども決まっていない。循環注水冷却システムも、現在は全長4キロという巨大なシステムのため、トラブルが尽きない。今後はよりコンパクトなものに作り替えていく必要がある。なんといっても最大の課題は原子炉にある燃料の取り出し。東電は8月31日に、破損した原子炉を補修し、水で満たした上で取り出す作業のイメージを公表したが、実現性は不透明で、10年以上かかるとみられている

3号機、炉心の検出器全滅 損傷状況推定できず

2011.9.21 13:40
 東京電力は21日、福島第1原発3号機の原子炉圧力容器の下に位置し、制御棒137本の挿入状態を知るための検出器を調べた結果、すべてが損傷などで正常に作動しなかったと発表した。東電は、炉心溶融(メルトダウン)の高熱で電線が断線したりショートしたとみている。
 3号機の圧力容器の底には溶けた燃料がたまっているとみられる。東電は、炉心の状況を推定するため、制御棒にそれぞれ設置された検出器が正常に作動するかを調査。電気を流したが、健全な反応を示した検出器はなかった。 東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「圧力容器下部の損傷の程度は、はっきり分からない」と説明した。
 東電は当初、検出器の作動状況から、燃料損傷の度合いや原子炉下部の温度を推定できるとみていたが、検出器の損傷が予想以上に大きく、手掛かりは得られなかった。東電は燃料の損傷状態を調べる別の手法を検討する。
 1号機でも検出器を確認しているが、ほとんどの検出器が作動せず、損傷の程度は分からなかった。

警戒区域は国が除染へ 計画的避難区域も

2011.9.27 23:17 
環境省は27日、東京電力福島第1原発事故で放射性物質に汚染された土壌の除去について、国が直轄で除染する範囲を、福島第1原発から半径20キロ圏内の「警戒区域」と、年間の被ばく線量が20ミリシーベルトを超える恐れがある「計画的避難区域」とする方針を固めた。
 この日の有識者検討会で同省が素案を提示し、大筋で了承された。来月10日の次回検討会で環境省の省令案として取りまとめ、11月にも正式決定する見込み。
 自然界にもともと存在する放射線量を除いた追加被ばく線量が年間1ミリシーベルトを超える地域は、都道府県が汚染状況の調査を行い除染計画を策定、主に自治体が除染を進める。該当地域は原則として市町村単位で環境相が指定する。 追加被ばく線量が年間5ミリシーベルト以上の地域は、地域内全体を除染し、1〜5ミリシーベルトの地域は線量が局所的に高いホットスポットを中心に除染する指針も了承された。

2号機再び100度超に「全体としては安定」

2011.9.29 10:55
 東京電力は29日、一時は100度を下回った福島第1原発2号機の原子炉圧力容器下部の温度が、再び100度を超えたと発表した。
 28日に1〜3号機すべてで100度を切り、冷温停止状態の条件の一つをクリアしたばかりだった。東電は「温度は上下しているが、全体としては安定した状態だ」としている。 東電によると、2号機は28日午後5時に99・4度となったものの、午後11時には100・7度に上昇。29日午前5時には100・0度になった。 冷温停止をめぐっては、細野豪志原発事故担当相が年内達成を目指すと表明。その条件に、圧力容器下部が100度以下になり、放出される放射性物質が抑制できた状態などを挙げている。

放射性物質除染:1〜5ミリシーベルトでも国負担

毎日新聞 2011年9月29日 22時34分
 東京電力福島第1原発事故による放射性物質の除染について、細野豪志環境・原発事故担当相は29日、国が対象として指定しない場所についても、年間追加被ばく量が1〜5ミリシーベルトの場所で自治体が除染を実施した場合は、国が予算を負担する考えを示した。
 環境省は今月27日、国が指定して除染する対象地域について、事故に伴う被ばく量が年5ミリシーベルト以上の地域と、年1〜5ミリシーベルトでも局所的に線量が高い地域とする方針を明らかにしている。
 この方針について福島県市長会は29日、復興対策現地本部(福島市)に、「県民の心情を全く理解していないもので到底納得できない」とする抗議文を提出。同市長会は5ミリシーベルト未満の地域の除染は基本的に自治体負担とする方針と解釈し、撤回を求めていた。
 同省によると、局所的に線量が高い地域の除染費用は、政府が除染に使用することを決めた、11年度第2次補正予算の予備費から52億円を充てることを決めている。年1〜5ミリシーベルトの場所は、11年度第3次補正予算で百数十億円を計上する予定だ。
 細野環境・原発事故担当相は除染方法について「市町村が適切と思う形でやっていただき、なるべく要望に沿う形で予算を執行していきたい」と話した。

運転手順書、役に立たず「2号機では爆発なし」東電社内調査

2011.10.2 11:26
 東京電力福島第1原発事故で、過酷事故などに対応する「運転操作手順書」が役に立たなかったとする報告書を東電の社内事故調査委員会がまとめたことが2日、分かった。非常用ディーゼル発電機などが動くことを前提としていたが全て動かず、事故対応に生かせなかった。また2号機の圧力抑制プール付近では水素爆発はなかったと従来と異なる判断を示した。
 報告書によると、2号機と4号機で大きな爆発音があり、2号機では格納容器につながる圧力抑制プールの圧力が低下、4号機では原子炉建屋最上階が損傷していることが確認された。
 その後、第1原発敷地内の仮設の地震計が震動を計測していることが判明。爆発による震動は1回だけで4号機での爆発だったとし「2号機の圧力抑制プールの圧力指示値が低下したため、爆発的事象が発生した可能性があると誤って認識した」と結論づけた。

甲状腺機能、10人が変化 福島の子供 信州大病院調査

2011.10.4 10:19  長野県松本市の認定NPO法人「日本チェルノブイリ連帯基金」と信州大病院が福島県内の子供130人を対象に実施した健康調査で、甲状腺ホルモンが基準値を下回るなど10人の甲状腺機能に変化がみられたことが4日、同NPOへの取材で分かった。
 同NPOによると、福島第1原発事故との関連ははっきりしない。 健康調査は7月末から8月末にかけて実施。原発事故で福島県から避難し、長野県茅野市に短期滞在していた当時0歳から16歳の子供が医師の問診と、血液、尿の検査を受けた。 甲状腺は成長に関する甲状腺ホルモンなどを分泌。子供は大人よりも放射性ヨウ素が集まりやすく、蓄積すると甲状腺機能低下症や甲状腺がんになる可能性が高まる。

IAEA専門家チームが除染後の小学校を視察「ごみ扱えない」と市長訴え

2011.10.10 19:37
 東京電力福島第1原発事故に伴う除染について、日本政府に助言するため来日中の国際原子力機関(IAEA)の専門家チームは10日、福島県伊達市で除染を終えた小学校を視察、仁志田昇司市長から効果の説明を受けた。
 市長は「校庭の表土を削り取ったことで放射線量が約10分の1になった。プールは放射性物質が含まれていたため排水できなかったが、除染して排水できた」と説明。体育館裏に仮置きされた、袋に入った除染ごみを見たチームの一人が「放射線量の低いごみは、通常のごみと同様に回収して処理できないのか」と尋ねると、市長は「放射性物質を含むごみについては法的な枠組みがなく、現時点では扱えない」と訴えた。
 チームは、線量が高く特定避難勧奨地点に指定された世帯がある同市霊山町でのモデル事業や、飯舘村で農地の実証試験の現場も視察した。

横浜でストロンチウム検出 福島第1原発100キロ圏外では初 

2011.10.12 12:10
 横浜市港北区のマンション屋上の土砂などの堆積(たいせき)物から、放射性物質のストロンチウム90が民間の検査機関の測定で検出され、横浜市が同区の土砂について検査を実施していることが12日、横浜市への取材で分かった。近く結果が報告される。福島第1原発から100キロ圏外で検出されるのは初めて。 市によると、同区に住む男性が8月、自宅マンションの堆積物の検査を民間検査機関に依頼。
堆積物1キロ当たり195ベクレルのストロンチウム90を検出した。この情報をインターネットで閲覧した市議から議会で11日に質問があり、市はすでに検査を開始していることを明らかにした。検査しているのは、男性の自宅マンション屋上のほか、これまで横浜市の同区内の検査で高い放射線量を検出した2カ所の計3カ所。
 文科省の発表によると、放射性セシウム137の検出される堆積物には、ストロンチウムが微量だが一定割合で含まれるとされる。市は「土壌に含まれるストロンチウム90の値が、異常な割合なのかどうかを調べるために調査する」としている。 ストロンチウム90はウラン核分裂によって生成する放射性物質で、半減期は約29年。カルシウムに似た性質があり、骨に蓄積しやすく、人体への影響が大きいとされている。

千葉・船橋「アンデルセン公園」で5・82マイクロシーベルト 各地で高線量検出相次ぐ

2011.10.13 14:06
 千葉県船橋市によると、市内の「ふなばしアンデルセン公園」で市民グループが12日に実施した測定で、地表から高さ1センチのところで毎時5・82マイクロシーベルトを検出していたことが分かった。東京都世田谷区弦巻の区道でも高さ1メートル地点で毎時3・35マイクロシーベルトが検出されており、各地で高線量の検出が相次いでいる。
 船橋市公園協会は検出地点周辺の立ち入りを禁止。市は公園内の放射線量の測定を始めた。現場はたまった雨水が流れ込む場所で、入場者が通常立ち入るようなところではないという。
 一方、世田谷区は、問題の区道に接する民家の板塀を覆っている樹木の葉を採取。放射性物質の付着を調べ核種を分析する。今後、除染などの対策を急ぐ。

日本の食品基準は甘すぎ ベラルーシ専門家が批判

2011.10.12 20:28 
 チェルノブイリ原発事故後の住民対策に取り組んできたベラルーシの民間の研究機関、ベルラド放射能安全研究所のウラジーミル・バベンコ副所長が12日、東京都内の日本記者クラブで記者会見した。
東京電力福島第1原発事故を受け、日本政府が設定した食品や飲料水の放射性物質の基準値が甘すぎ、「まったく理解できない」と批判、早急に「現実的」な値に見直すべきだと述べた。
 例えば、日本では飲料水1キログラム当たりの放射性セシウムの暫定基準値は200ベクレル。一方、ベラルーシの基準値は10ベクレルで、20倍の差があるという。
 ベラルーシでは内部被ばくの影響を受けやすい子どもが摂取する食品は37ベクレルと厳しい基準値が定められているが、日本では乳製品を除く食品の暫定基準値は500ベクレルで、子どもに対する特別措置がないことも問題視。「37ベクレルでも子どもに与えるには高すぎる。ゼロに近づけるべきだ」と指摘した。(共同)

東京都世田谷区で最大毎時2・7マイクロシーベルト

2011.10.12 22:55
 東京都世田谷区は12日、区内の1カ所で最大毎時2・7マイクロシーベルトの放射線量が確認されたと発表した。区は今月下旬から、区内の公園258カ所の砂場の放射線量を緊急に計測する方針を決めた。
 区によると、高い線量が確認された地点は弦巻5丁目の区道で、民家の雨どいや樹木から流れる雨水がたまる場所という。 今月3日に区民グループから情報提供があり、翌4日に区職員が計測した。土壌に水をかけて清浄し、6日に再計測したところ、同じ値を示した。 小学校の通学路に指定されているため、区は12日、この地点を立ち入り禁止区域に指定。通学・帰宅時には学校職員が同地点に立っち、児童が入らないよう誘導した。区では、今後も高い数値が続く場合は専門家の意見を聞きながら除染を検討するという。

東京・世田谷区道で毎時3マイクロシーベルト超の放射線量 地上1メートル 理由は「不明」

2011.10.13 11:25  東京都世田谷区弦巻の区道から最大で毎時約2・7マイクロシーベルトと周辺より高い放射線量が検出された問題を受け、区が13日に実施した専門業者による測定では、高さ1メートル地点で毎時3・35マイクロシーベルトが検出された。区は核種分析や除染を含めた対応策の検討を急ぐ。
 今回の線量は「毎日8時間を屋外、残りを木造家屋内で過ごした」との仮定で年間被ばく線量に換算すると約17ミリシーベルトとなるが、国が避難を促す目安としている20ミリシーベルトよりは低い。 現場は区道の歩道部分で、近くの区立松丘小学校の通学路になっている。区は念のため、現場をコーンで囲う措置を取っている。 高線量が検出された原因について区は「現場はくぼ地で雨水がたまった可能性がある」とするが、泥がたまる地表より高いところで高線量となった理由については「現時点で不明」としている。

東京・世田谷区で高い放射線量が検出された問題で、その放射線の正体がラジウムと判明 したことで、新たな波紋が広がっている。
14日午後、物々しい雰囲気の中、住宅から黄色い金属製の密閉容器に入れられ、放射性物質が持ち出された。
12日から13日にかけて、周辺住民を不安に陥れた東京・世田谷区のホットスポット騒動。
文科省は14日未明の会見で「危険対象物は、各種がラジウム226。木箱等の中に、瓶が数十本あった」と発表した。
13日夜、ホットスポットの近くの住宅で、文科省担当者が撮影したこちらの写真には、古い木箱に入れられ、土ぼこりをかぶった瓶と、十数本の試験管のような容器が写されていた。 そして中には、粉末状の白い物体が入っていたという。
これらを検査したところ、「ラジウム226」が確認された。
13日、原因がわからないまま計測器を使い、現場を取材した時には、高い放射線量が観測された。
しかし、14日、密閉処理などが行われたあとに同じ場所を計測してみると、0.18マイクロシーベルト(μSv)と、非常に低い数値を出していた。
付近の住民は、「人体に影響ないということで、安心なんですが」、「取り除いていただいたら、だいぶ線量も減るので、少し安心しました」などと語った。 文科省は、近隣住民などへの健康には影響はないとしているが、念のため14日も、付近に警察官が配備され、児童の通学に区の担当者が立ち会った。
この住宅に住んでいた男性は、10年ほど前に死去し、2011年2月まで妻が住んでいたが、現在は空き家になっていた。
妻の娘も、「なぜラジウムが置いてあったのかわからない」と言っているという。
今回、にわかに注目された放射性物質「ラジウム」。
その名前は、温泉施設などでよく見られる。
ラジウム温泉をうたう入浴施設の風呂では、入浴中の放射線量は通常とほぼ変わらず、およそ0.08マイクロシーベルト。
しかし、タンクに入っているラジウムを含む石「北投石」の線量を測ると、0.8マイクロシーベルトあたりを指した。
首都大学東京の大谷浩樹准教授は「ラジウム温泉というのは、今回見つかったラジウムの1,600分の1ぐらいしかない。放射能の汚染・被ばくの心配を温泉でするのは、まったく心配ないことです」と語った。
そして大谷准教授は、世田谷区のラジウムに関しては、「(もしも粉末を)吸い込んだときには、非常に危険なんです。特に骨などに多くたまるので。(粉末を吸い込んだと仮定すると)例えば、白血病などの病気を引き起こす可能性もあった。ただ今回は、瓶の中に入って飛散していないので、吸い込んでいる確率はほとんどない」と語った。
また、ラジウムは、がんなどの放射線治療に用いられる。
また、時計の文字盤に塗られる蛍光塗料としても使われてきた。
今回見つかったラジウムの瓶には、「日本夜光」と書かれていた。
この「日本夜光」は、戦前・戦時中にあった塗料会社とみられている。(10/14 17:28)


柏市で最大57・5マイクロシーベルト計測

2011.10.21 22:35 千葉県柏市は21日、同市根戸にある市有地で高い放射線量が確認されたと発表した。地元町会などから「高い放射線量が出ている場所がある」と通報を受け、千葉県環境財団に依頼して21日に計測したところ最大で57・5マイクロシーベルトが確認された。
 高い数値が計測された地点は半径1メートルの局所的な範囲で、非常に高い数値なことから、市は「福島第1原発事故の影響とは考えにくい」としている。市有地は現在空き地となっており、市では半径3メートル以内を立入り禁止にするとともに、今後、文部科学省と連携しながら除去作業を行っていく予定。

福島第1 なお放射性物質放出の危険 地下水流入 配管に水素

2011.10.23 20:40

 事故から7カ月以上が経過し、小康状態を保っているかにみえる福島第1原発だが、最近になって原子炉建屋への地下水の流入や、配管内で高濃度の水素が見つかるなど、新たな問題が表面化している。いずれも、放射性物質の大量放出につながりかねない問題で、同原発が今もなお危険を内包していることを示している。(原子力取材班)

1日500トン
 地下水の流入は、処理した汚染水の量に比べ、原子炉建屋の汚染水の水位が思うように下がらないことから明らかになった。東電の試算では、1日200〜500トンが流入しているとみられる。当初20万トンと見積もっていた処理量が増えるため、作業が遅れるほか、処理に伴って出る高濃度の放射性廃棄物の量が増えることになる。 最も懸念されるのは地下水側への汚染水流出だ。原発周辺の地下水は海に向かって流れており、漏れ出せば海洋汚染につながる可能性がある。
 東電は地下水から検出される放射性物質が微量であることを理由に「流出はしていない」と否定するが、今後も流出の懸念は残るため、月内にも地下水が海に流れ出ないようにするための遮水壁の設置工事に着手する。また、地下水がタービン建屋を経由して原子炉建屋に流れ込んでいる可能性が高いため、タービン建屋と原子炉建屋をつなぐ配管などをふさぐ工事も検討している。
 ただし、いずれの工事も完成は年明け以降で、それまでは現状のままで流出させない工夫が必要となる。産業技術総合研究所地下水研究グループの丸井敦尚グループ長は「汚染水の水位を地下水よりも下げておくことが大切だ」と指摘する。水圧の差により、流出したとしても最小限に抑えられるからだ。
しかし、汚染水の水位を下げすぎると、今度は地下水の流入量が増えてしまう。そのため、東電は汚染水の水位を海抜3メートル程度で維持し、バランスを取ることにした。せっかく安定してきた汚染水処理システムも、処理能力の約55%程度に抑えて運用している。

爆発の可能性
 配管の水素は9月下旬に、1号機の原子炉格納容器につながる配管を切断する作業の事前調査で見つかった。後の調査で、濃度が60%を超えていたことも判明。今月12日には2号機の配管からも6・5%の濃度で水素が確認された。
 東電は水素を追い出すため、原子炉には常に窒素を封入しており、「水素爆発の心配はない」と繰り返してきた。しかし、実際には高濃度の水素が配管にたまっていた。事前調査をせずに配管を切断していれば、水素爆発が再び発生した可能性もあった。
 1号機の配管からはすでに水素は抜き取られたが、この配管にどのような経緯で水素がたまったかは不明のまま。他の場所にも同様に水素がたまっている可能性もあり、東電は今後、配管などの切断前には事前に水素濃度を測るなど、爆発防止に細心の注意を払うとしている。
 新たな2つの課題は、いずれも放射性物質を再び大量放出する可能性を秘めている。政府・東電の統合対策室は工程表ステップ2で最大の目標として「冷温停止」の達成を掲げているが、放射性物質の放出抑制は冷温停止の絶対条件でもある。
 名古屋大の遠藤知弘助教(原子力工学)は「放射性物質が再び大量放出されるリスクはまだ残されている。こうした課題が解消されない限り、原子炉が安定した状態とは呼べないし、冷温停止の判断や避難区域の解除はすべきでない」と話している。