「足柄茶」基準値超え 神奈川県農産物で初 出荷自粛と自主回収を呼び掛け

2011.5.11 16:38 神奈川県は11日、同県南足柄市で9日に採取した「足柄茶」の生葉から、暫定基準値を超える放射性セシウムが検出されたと発表した。同県産の農産物が暫定基準値を超えたのは初めて。 県は南足柄市などに対し、今年産の茶の出荷自粛と自主回収を呼び掛けた。県によると、足柄茶の生葉は県内17市町村で生産しており、他市町村の生葉の検査も早急に進める。
 県によると、南足柄市の生葉から1キログラム当たり550〜570ベクレル(基準値同500ベクレル)の放射性セシウムを検出。放射性ヨウ素は検出されなかった。今年収穫された足柄茶は、6日に出荷が始まったばかりだった。
(距離300km)

福島・南相馬市産の牛肉からセシウム 全国初

2011.7.8 23:52  東京都は8日、福島県南相馬市産の牛肉から食品衛生法の暫定基準値(1キログラム当たり500ベクレル)の約5倍に当たる2300ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。牛肉から基準値を超えたセシウムが検出されたのは初めて。

 福島県は、南相馬市に対し出荷自粛を要請。また、厚生労働省は、福島県や隣接県に対して牛肉検査態勢の強化を求めた。 検出されたのは、南相馬市の緊急時避難準備区域内の農家から、都立芝浦と場に搬入された牛11頭のうちの1頭。 福島県内では食品などについての検査が追いつかないため、厚労省の依頼で都が検査。残りの10頭についての検査結果は、9日午後にも判明する。 この牛肉については、都の施設内で管理されており、一般に流通する可能性はないという。これまで、ほかの自治体などでも同じような検査はされていることから、放射性物質が検出された牛肉については、市場には流通していないとみられる。

 ただ、都などによると、これらの牛は、体表面が放射性物質に汚染されていないかや育成過程がどうだったかについては、農林水産省の指針に基づいて、出荷段階でチェックされていたという。チェック体制が適切だったかどうか、今後、課題になりそうだ。 ある自治体関係者は「出荷前のチェックでは問題ないということで、モニタリング検査していた。今後、農水省などが事前の検査態勢などを見直す必要があるのではないか」と話した。

 ただ、都などによると、これらの牛は、体表面が放射性物質に汚染されていないかや育成過程がどうだったかについては、農林水産省の指針に基づいて、出荷段階でチェックされていたという。チェック体制が適切だったかどうか、今後、課題になりそうだ。

 ある自治体関係者は「出荷前のチェックでは問題ないということで、モニタリング検査していた。今後、農水省などが事前の検査態勢などを見直す必要があるのではないか」と話した。

福島の肉牛に高濃度セシウム汚染の稲わら供与、42頭流通

2011.7.14 20:21
放射性セシウムが検出された稲わらを餌に与えた肉牛の出荷が、浅川町で新たに判明したと発表する福島県農林水産部の宍戸多加志技監(左から2人目)ら=14日夜、福島県災害対策本部(中川真撮影)

 福福島県は14日、同県浅川町の肉用牛農家が高濃度の放射性セシウムを含む餌の稲わらを牛に与えていたと発表した。この農家は4月8日から7月6日までの間、42頭を仙台市、千葉県、東京都、横浜市に出荷。厚生労働省は流通経路について関係自治体に追跡調査を要請し、農林水産省もわらの取り扱いについて緊急調査に乗り出すほか、福島県は全県に牛の出荷と移動の自粛を要請した。 福島県によると、横浜市に14頭、東京都に13頭、仙台市に10頭、千葉県に5頭を出荷した。仙台市によると、10頭のうち1頭分は食肉加工後に東京都の業者に販売され、さらにもう1頭分は山形県酒田市や岩手県花巻市、仙台市の業者に販売。残り8頭の流通経路は不明で解明を進める。 また、厚労省によると、千葉県で解体された牛は都内の施設を通じて流通しているという。
 福島県によると、浅川町の農家のわらからは、セシウムが最大で1キログラム当たり9万7千ベクレル検出。わらの水分量を補正すると暫定基準値の約73倍だった。わらは福島県白河市の稲作農家から購入したもので、計4種類。うち2種類は、田んぼに置いていたものを福島第1原発事故発生後の3月15日以降に集めたものだった。残り2種類は昨秋に集めたものという。
 農水省は岩手、宮城、福島、栃木、茨城、千葉、群馬、埼玉の8県の畜産農家と稲作農家を対象に、わらの取り扱いに関する緊急調査を行う。

なぜ稲わらに高濃度セシウム? 野ざらし…雨・土から

2011.7.16 22:13 次々に高濃度の放射性セシウムが検出される飼料の稲わら。16日には、福島県郡山市の農家に残っていた稲わらから1キロ当たり50万ベクレルもの放射性セシウムが検出された。相馬市の農家からも、宮城県大崎市から納入された稲わらからも高い値が検出されたという。なぜ、これほど広範囲で、稲わらから放射性物質が見つかるのか。

 農林水産省によると、稲わらは通常、秋のコメの収穫時に乾燥させ、倉庫などにしまって使用する。だが、今回基準を超える放射性セシウムが検出された稲わらは、秋の収穫時から水田に野ざらしになっており、3月の原発事故後に集められていた。 「雨にさらされた稲わらは、栄養分が抜けカビが生えるため、飼料用としては勧められないやり方だ」と農水省担当者。しかし、収穫期に雨が続くなど乾燥が進まない場合は、まれに水田に置いたまま冬を越すこともあるという。 水田に置かれたままだった稲わらは「事故直後の放射性物質が含まれた雨をもろに浴びた」(農水省)とみられる。さらに、放置された稲わらを集める際、土の表面に落ちた放射性セシウムをこそげ取った可能性もあるという。
 放射性物質は風で飛ばされ、降る雨で地面に落ちる。今回、高濃度の放射性セシウムが検出された地域は原発から遠く離れているが、天候が影響したとみられる。立命館大の安斎育郎名誉教授(放射線防護学)は「3月の水素爆発時に出た放射性物質が、雨が降ったときに、昨秋に収穫した稲わらにホットスポット的に落ち、中に入っていったのではないか」と指摘する。 さらに、稲わらは乾燥している。学習院大の村松康行教授(放射化学)は「軽いので、お茶と同じで重さあたりの濃度が濃くなってしまう。表面積も広く、付着しやすい」と説明する。

 ただ、安斎名誉教授によると、50万ベクレルの稲わらを毎日1キロ、4カ月食べ続けた牛の肉の放射性セシウムは1キロ当たり約6万ベクレル。人間が200グラム食べても内部被曝(ひばく)は0・2ミリシーベルトで「健康に被害が出る程度ではない」(安斎名誉教授)という。

 村松教授は「牛の体内からは時間とともに放射性セシウムが排出され、30〜40日で半分になるという報告もある。今秋に収穫した後の稲わらは土壌から吸収した放射性セシウムを含むので、餌として与えるなら、対策も必要だ」と訴える。

汚染疑い牛84頭 5都県流通

2011.7.16 16:52 
福島県は16日、新たに郡山市など5軒の肉用牛農家でも、放射性セシウムが含まれた稲わらを餌として与えていたと発表した。計84頭が宮城、福島、山形、埼玉、東京の1都4県に出荷されており、県は関係自治体に追跡や検査を依頼した。
 福島県によると、郡山市の農家に残っていた稲わらからは、1キロ当たり50万ベクレルの放射性セシウムが検出された。水分量を補正すると暫定基準値の約378倍になる。
 東京電力福島第1原発の事故後の3月22日、県は屋外の餌を与えないよう指導していたが、5軒とも「指導は知らなかった」と答えているという。県の鈴木義仁農林水産部長は「指導が十分に行き届かず、反省している。全頭検査の実現へ努力したい」と話した。

 稲わらから50万ベクレルの放射性セシウムが検出された農家の牛の尿からは、1キロ当たり270ベクレルのセシウムが検出された。

 5軒の農家は郡山市2軒、喜多方市2軒、相馬市1軒。相馬市の農家の稲わらからは12万3千ベクレル、喜多方市3万9千ベクレルが検出された。相馬市の農家では宮城県大崎市から納入された稲わらもあり、1万7600ベクレルが検出された。
 福島県浅川町の農家から出荷された42頭の流通先は16日も次々と判明、同日夜までに31都道府県となった。

 

岩手も全頭検査実施へ 牛肉汚染問題

2011.7.27 12:11 
放射性セシウムによる牛肉の汚染問題を受け、岩手県は27日、県内で飼育、出荷される牛の全頭検査を8月上旬から実施すると発表した。
 県によると、原発事故後に暫定基準値を超える稲わらや、検査していないわらを与えられた牛を全頭検査する。わらを与えなかったり、暫定基準値を下回ったわらを与えたりした農家は、1戸につき1頭検査する。
 また、県内で食肉処理される牛も全頭検査する方針。